【名探偵コナン】異世界の訪問者39《男主》

2011話 緋色の弾丸 ページ12

『クエンチなんて方法を思いつくとは、さすがリニアのエンジニア』

「そういえば、リニアもMRIも超電導磁石を使ってたわね。プログラミング担当の貴方だから、あんな細工も出来たってことかしら？」


哀の追及に、井上は一歩後ずさる。



《遠隔操作でさっきみたいな急減速が出来るのは…このリニアの中がリアルタイムで見えているエンジニアだけだ！》


コナンがそう突きつけるのと同時、哀が走り出し、井上が持っているタブレットを奪った。




「え…！あ、こら…っ！」

「逃がさないわよ！」


哀からパッドを取り返そうとした井上を蘭が後ろから腕を取って押さえつける。




「あったわ！リニアの制御室と繋がってるソフトがね！」


哀の持つタブレットを見ると、それは確かにリニアの制御プログラム画面だった。





「か、返せっ！」

「お前なんでこんなことを!!」


蘭が手を離し、次いで毛利さんがその胸倉を掴んで井上に詰め寄る。





《15年前の事件の関係者で、日本人は2人だけだ。犯人の石原誠と1人目のターゲットになった菓子メーカーのトップ》


世良の言葉に、井上は悔し気に顔を歪めた。




「それが俺の父親だ。WSGのスポンサーを降りた父はアメリカ中から非難され、あげくに会社のトップを解任された！15年前のあの事件は俺たち一家からすべてを奪ったんだ！なのにFBIは間違った犯人をでっち上げて事件を終わらせた！」

「間違った犯人!?」

「4年後…その模倣犯が捕まった。俺はそいつの顔を知っていた。15年前に父を誘拐した犯人の1人がその顔だった…！その俺の証言をFBIは握りつぶしたんだ！冤罪を作ったことを隠すためにな!!」

『それがFBIへの恨みか？』

「父に向けられた全米中の非難は凄かった…。とてもアメリカにはいられなかった…！」

「それで日本に来たのか!?」

「その日本で見つけたんだよ。15年前の事件をネットで調べるうちに俺と同じ恨みを持っている女を…！」



新幹線が新港浜駅に停車した。






「白鳩舞子。貴方の共犯者ね？」

「ああ、その通りだ!!」



言いながら、井上は隠し持っていたスタンガンを毛利さんに向けた。


ギリギリでそれを躱した毛利さんだが、井上は哀を突き飛ばしタブレットを奪うと、出入り口へ走り出す。






『哀ちゃん！』

「っ、いいから追って！」



突き飛ばされ、地面に倒れた哀の無事を確認し、俺は頷いて毛利さんと共に新幹線から降りた井上を追った。









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