1746話 ページ47
客席に背中を向け、気を失った男をハンググライダーの翼で隠しながら床に下ろす。
「え、あのハンググライダーって…」
「まさか怪盗キッド!?」
「なんで!?」
喧騒の中、ステージ袖にいるスタッフに目線を送る。
気を失っている男を指さし、犯人!と口パクで訴え、下に降ろせ!とジェスチャーをする。
そうすると意図はすぐに伝わり、上下稼働のポップアップステージが下がり、犯人の男は舞台下に収納されていった。
さて、あとは…と覚悟を決め、ハンググライダーを畳んでキッドのジャケットを脱いだ。
出来れば避けたかったが、ここまで目立ってしまえばもう仕方がない。
「黒瀬様、お預かりします」
そっと寄ってきたスタッフが、キッドのジャケットと引き換えに俺にマイクを渡してきた。
『ありがとう。助かりました』
こそっとスタッフ――に扮した寺井さんに礼を述べる。
「スペシャルゲスト!黒瀬Aちゃんでーす!!」
寺井さんと入れ替わるように、氷上がステージに上がってきた。
その紹介に合わせて、客席に顔を向ける。
一瞬の静寂の後、割れんばかりの歓声が会場を震わせた。
「こ、これでいいんだよね…?」
会場がざわついてる中、氷上がマイクに声を乗せずに俺に聞いてきた。
『ああ…。こうなったらもうしょうがない。もっとうまくやる予定だったんだが…』
あの男は自分がステージに飛び降り、ライブを中止にする強行に出ようとしたんだろう。
なんとかその最後の手段も阻止できたが。
舞台袖を見やると、風見さんに加え、目暮警部と高木刑事が舞台下から運ばれてきた男を拘束していた。
それに安堵し、一息ついてからマイクを構える。
『皆さんこんばんは!黒瀬Aです!』
挨拶すると、再び歓声が沸いた。
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096 - つみさん» 一気読みありがとうございました!そしてお疲れ様です…!!もう一周…!嬉しいです!これからも頑張ります! (2022年1月1日 22時) (レス) id: 5783aede03 (このIDを非表示/違反報告)
つみ(プロフ) - やっと最新話まで読めました!一気読み楽しかったです!もう一周してきますね!更新頑張ってください! (2021年12月31日 23時) (レス) id: 5c8f437fce (このIDを非表示/違反報告)
096 - ??さん» ありがとうございます…!何周もしていただいて嬉しいです…っ!これからもいろんなお話を書いていきますので、よろしくお願いします!! (2021年12月13日 22時) (レス) id: 5783aede03 (このIDを非表示/違反報告)
??(プロフ) - 今まで出会った小説の中で1番好きでもう何周もしています。何回読んでも泣ける素敵なお話で大好きです!緋色の弾丸や次の映画がこの小説にも登場するのが楽しみです!!これからも応援しています。 (2021年12月13日 11時) (レス) id: b0630737aa (このIDを非表示/違反報告)
096 - 伶さん» 初めまして!見つけて読んでくださり、さらには日課にしていただきありがとうございます!頑張って毎日更新してますので、これからもよろしくお願いします! (2021年12月10日 21時) (レス) id: 5783aede03 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:096 | 作成日時:2021年11月16日 22時