【名探偵コナン】異世界の訪問者33《男主》

1716話 キッドVS高明 狙われた唇 ページ17

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「平次ぃ〜〜‼」



コンクパールの展示会場外で服部の姿を見つけた瞬間、和葉、もといキッドは完璧な声真似で服部の名を呼び駆け出した。





「ババ〜ン！どや！」


流行りのワンピを自慢するかのようにポーズをとる和葉。






「カワイイ〜！」


蘭はすぐに和葉に詰め寄ったが、その正体がキッドだと気づく素振りもない。

そしてこの男も…。





「どや？平次。ウチにホレ直したんとちゃう？」

「あ…ああ、まぁ…ってアホか!?元々ホレてへんわ！ボケ！」


すぐに我に返って怒鳴る服部だが、彼女の些細な変化にも気づけていない。



和葉は自分のこと“あたし”と呼んでいるが…、いろいろ狂ったらまずいから黙っておこう。


そのやり取りを和葉の背後から見つめていると、下の方から視線が突き刺さる。


ジトっとした目で、コナンが俺を見ていた。




やっぱりバレてるか。
キッドが和葉に化けたことも、俺が知ってて黙っていることも。


だが今回に関しては、俺とキッド、そしてコナンの利害も一致しているようだ。


肩を竦めて笑って見せれば、彼はやれやれと言ったようにため息を吐いた。








そうこうしているうちに閉館時間になり、一般客は退場し、捜査関係者だけが残される。





「なぁ、平次、ウチのスマホ知らん？さっきから見当たらへんねん」

「ほんなら、鳴らしてみよか？」


キッドの掌の上とも知らず、服部は和葉のスマホに電話をかける。


すると、どこか近い場所から着信音が聞こえてきた。







「あ。氷の部屋からや！指輪の写真写して、そのまま置き忘れてしもたんやわ」

「ホンマか？けどもう、キッドの予告の時間や。一段落するまで待っとけよ」

「えー!?スマホなかったら、キッドが来るまで写真撮られへんやん！」

「けどなぁ…」

「お願いや平次！警部さんに頼んで、取りに行かせてもろてーな！」

「無茶言うなよ…」

「え〜…!?アカンのぉ…？平次ぃ…」




甘ったるい声で、服部の腕を自身の胸に押し付けて上目遣いに懇願する和葉。



普段ならしない彼女の行動に、普通なら疑うはずだが…本日脳内ピンク色の服部には効き目は抜群のようだ。






「しゃ…しゃあないのぉ…」



情けなく陥落。











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