【名探偵コナン】異世界の訪問者33《男主》

1711話 キッドVS高明 狙われた唇 ページ12

コナンと話している隣で服部が珍しく大人しい。


それどころか僅かに頬を赤らめ、どこか一点を注視している。

その視線を辿ると、蘭と楽しそうに会話する和葉の姿が。




『服部くん。どうしたの？和葉ちゃんの一点ばかり見つめちゃって』

「な…っ！だ、だぁほ！く、唇なんて見つめてへんわ！」

『……へぇ、唇ね』

「あっ!?」



どうも様子のおかしい服部にカマをかけてみると、容易くその罠に嵌ってきた。

キッド捕獲よりも、和葉ちゃんの唇を奪う気満々のようだ。



告白の前に急にキスするのもどうかと思うけど。




「平次！またあたしの口元見てたんか!?」


服部がデカい声を出すものだから、和葉も見られていたことに気付いたようだ。


しかも“また”ってことは、ここに来る間も見つめていたのか…。





「やっぱり青ノリついてるんや！蘭ちゃん見て！」


一方の和葉はまったくの見当違いをしており、服部の目論見には気づく様子もない。


キッドは誰かに変装をするのか、それとも零時までどこかに身を潜めるのか。

どちらにせよ、犯行時刻は遅い。



零さんに連絡だけでも入れておくか…。






「しかしキッドのヤツ…ワシの靴の裏にいつこんなカードを貼りつけやがったんだ？」

「ここへ来る前からじゃないか？ここに来るのはとっくに決めてただろうしよ」

「いや、決行するのを決めたのはつい今しがたのようですよ」



中森警部と毛利さんの会話に横やりを入れたのは、しゃがみ込んだままの諸伏警部だった。


彼の手には白いカード。





「ここに落ちていたカードには、“明日20時参上”と書かれています」

「こっちのカードには“明後日くる”って書いてあんで！」

「“今回はパス”ってカードもあるよ」



服部とコナンも、床に散らばっていたカードをそれぞれ読み上げる。





「どういうことじゃ？」

「あらかじめ、いろいろなパターンのカードを床に仕込んでおき、これと決めたカードの上を中森警部に歩かせて踏ませ、予告状を示すことによってたった今にわかに決行を決めたにも関わらず、まるで手の内に熟考した計画があるかのように思わせたかったのでしょう。もちろん、これらの余分なカードはあとでこっそり回収するつもりだったのでしょうけど」


諸伏警部…蘭が言っていたようになかなかにキレる警部のようだ。



冷静で観察眼も鋭い。
これは今回、キッドは苦戦しそうだな。









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