1587話 14番目の標的 ページ38
『コナンくん、暗闇で何があった?』
しゃがんだまま、現場にいたコナンに状況を尋ねた。
「夜光塗料だよ。奈々さんの手の爪が光ってたんだ」
そう言われ、彼女のピンクに塗られた爪を見やる。
『そうか。犯人は旭さんの名を語って彼女にこのマニキュアを贈った…』
「ですがそれには、夜光塗料が仕込まれていた、ということですね」
『でも、ここの指…』
小山内さんの左手の中指だけ、何も塗られていないことに気付く。
「ん?マニキュアが取れてる…。いや、爪が折れたのか…?」
「それ、付け爪が取れたんだと思います」
目暮警部の疑問に蘭が答えた。
「自分の爪じゃないんです。いろいろにデザインした付け爪を、接着剤で付けて楽しむんです」
「ほぅ…。それがなんかの拍子に取れてしまったということか。……お、あったあった」
周囲を見渡した目暮警部は、自分の傍らにその取れた付け爪が落ちていることに気付いてハンカチで包んで拾い上げた。
「事件とは関係なさそうだな」
はたしてそうだろうか…と考えていると、コナンが何かに気付いて小山内さんの服の襟首を下げた。
そこには真っ赤な跡が残っていた。
おそらく、左手で掴まれた跡。
よほど強く掴まれたのかしっかりと手の跡が残っている。
左手で掴み、右手でナイフを突き刺した。
よって犯人は右利き。
この事実で、犯人が村上ではないと断定した。
だって村上は…左利きだ。
先日目暮警部に見せてもらったディーラー時代の彼の写真は左手でトランプを捌いていた。
今思えば、博士に向けてボーガンを撃った犯人も右利きだった…。
くそ、それにもっと早く気づいていれば…!
「Aさん…!」
コナンもその事実に気付いたのだろう。
悔しそうな表情で俺を呼んだ。
『…ああ。俺も鈍ったかな。現役時代なら、あの写真を見せてもらった段階で気づいていただろうに』
小声でそう返して苦笑したとき、毛利さんと白鳥警部が戻ってきた。
「警部、ダメでした。村上はどこにも…」
「もうここから逃げ出してるんじゃないでしょうか」
「そんなはずはない!出口がないんだから」
「きっとまだどっかに潜んでんだよ」
口々にそう言う面々を立ち上がって観察する。
その言葉の端々から、嘘の気配を探す。
表情の強張り、視線の動かし方まで。
間違いなく犯人は沢木さん、宍戸さん、フォードさん、仁科さん…この中の誰かだ。
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096 - ふぇおさん» こちらこそ、嬉しいお言葉ありがとうございます!寒暖差が激しいので、ふぇお様も体調にお気を付けくださいね。これからも応援よろしくお願いします! (2021年10月17日 23時) (レス) id: 5783aede03 (このIDを非表示/違反報告)
ふぇお(プロフ) - いつも楽しみに読ませていただいてます!!!体調を崩さない程度に更新してくださいね、応援してます頑張ってください!!神作をありがとう!!! (2021年10月17日 0時) (レス) @page20 id: c548f35cab (このIDを非表示/違反報告)
096 - シオンさん» ありがとうございます!楽しんで頂けるよう頑張ります! (2021年10月3日 21時) (レス) id: 5783aede03 (このIDを非表示/違反報告)
シオン(プロフ) - 096さん» 映画ストーリーは好きです、頑張って下さい (2021年10月2日 16時) (レス) @page6 id: 1c08a873e8 (このIDを非表示/違反報告)
096 - シオンさん» ありがとうございます!! (2021年10月1日 23時) (レス) id: 5783aede03 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:096 | 作成日時:2021年9月28日 21時