1561話 14番目の標的 ページ12
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十和子さんは、毛利さんが常連の銀座の高級クラブのママらしい。
俺たちは車で銀座のネオン街へ向かい、高級クラブ“十和子”の前で降車した。
いかにも高級な建物の中に入ると、和服姿の女性が出迎えてくれる。
「毛利先生」
「十和子さん!」
彼女の姿を見るや否や、飛びつく勢いで駆け寄っていく毛利さん。
どうやら彼女がこのクラブのママである、岡野十和子さん。
「無事だったんですね!」
「無事って…。何かあったんですか?」
毛利さんと目暮警部は彼女への説明兼護衛として残ることになり、俺と蘭、コナンは白鳥警部が送ってくれるとのことで先に帰宅することになった。
白鳥警部の車の助手席で、零さんにこれから帰る旨を伝えておく。
「あの、白鳥警部。病院で何を言いかけたんですか?」
阿笠博士の個室で、白鳥警部が言いかけて目暮警部に遮られた例の件が気になったのか、後部座席から蘭が尋ねてきた。
「村上って人のことだよ」
コナンの補足で自分が言いかけたことを白鳥警部は思い出したようだ。
「ああ、まぁ調べれば分かることだから言うけど、これは先輩から聞いたんです」
そう前置きして、白鳥警部は話し始めてくれた。
10年前、毛利さんが所轄署の刑事だったころの話。
目暮警部もその頃は本庁の警部補で、2人で殺人犯の村上を逮捕した。
所轄署に連行して調書を取っている途中で村上がトイレに行きたいと言い出し、毛利さんと目暮警部は係の警官に村上をトイレに連れて行くように命じた。
調書室の前で2人が一服しているところへ、妃さんと幼い蘭が毛利さんの着替えを持ってやってきた。
そのとき、事件は起こった。
村上はトイレの中で、警官の隙をついて拳銃を奪ったという。
「…思い出した」
話の途中で蘭がポツリと呟いた。
蘭が声を震わせながらあの日のことを思い出しながら話を続けた。
村上は妃さんを人質に取り、車を用意するように要求した。
だが毛利さんは妃さんに向けて発砲。
続けて、村上を撃ったという。
「じゃあ、おじさんがおばさんを撃ったの…?」
「私、今の今まで忘れてた…」
『目暮警部が白鳥警部の言葉を遮ったのは、蘭さんに当時の事を思い出させないようにするためだったんですね』
自分の父親が母親を撃ったなんて衝撃的な光景を――。
現に当時のことがショックだったから、蘭は今の今まで忘れていたんだろう。
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096 - ふぇおさん» こちらこそ、嬉しいお言葉ありがとうございます!寒暖差が激しいので、ふぇお様も体調にお気を付けくださいね。これからも応援よろしくお願いします! (2021年10月17日 23時) (レス) id: 5783aede03 (このIDを非表示/違反報告)
ふぇお(プロフ) - いつも楽しみに読ませていただいてます!!!体調を崩さない程度に更新してくださいね、応援してます頑張ってください!!神作をありがとう!!! (2021年10月17日 0時) (レス) @page20 id: c548f35cab (このIDを非表示/違反報告)
096 - シオンさん» ありがとうございます!楽しんで頂けるよう頑張ります! (2021年10月3日 21時) (レス) id: 5783aede03 (このIDを非表示/違反報告)
シオン(プロフ) - 096さん» 映画ストーリーは好きです、頑張って下さい (2021年10月2日 16時) (レス) @page6 id: 1c08a873e8 (このIDを非表示/違反報告)
096 - シオンさん» ありがとうございます!! (2021年10月1日 23時) (レス) id: 5783aede03 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:096 | 作成日時:2021年9月28日 21時