【名探偵コナン】異世界の訪問者32《男主》

1560話 14番目の標的 ページ11

「目暮警部…！どうしてここへ？」

「英理さんに続いて阿笠博士まで狙われたと聞いてな」


そんな博士はうつ伏せ状態のまま、俺たちの話を聞いていた。

哀も椅子に座ったまま黙って話を聞いているようだ。




「しかし、傷口はまだ…」

「ちゃんと縫ってあるから大丈夫だ。話は聞いたよ。犯人はおそらく村上丈だ」

「村上丈…！」


俺にとっては聞き馴染みのない名前だったが、毛利さんは心当たりがあるらしい。





「何者です？」

「一匹狼のカード賭博のディーラーでな。10年前殺人事件を起こして2週間前に仮出所したばかりなんだ」

「カード賭博のディーラーって？」

『トランプの賭博で、お客さんに札を配る人のことだよ』



潜入捜査でちょっとだけやったなぁ。
懐かしい。





「これが10年前の村上だ」


目暮警部が古い写真を見せてくれた。


見えづらそうにしていたコナンを抱えて、しっかり顔を覚えてもらう。




「村上か…。確かにあいつなら、俺に恨みを抱いても無理はない」

「どうして…？」

「俺がヤツを逮捕したからだ」



毛利さんの刑事時代の話か…。
それで逆恨み…？




「そんな！刑事が犯人を逮捕するのは当たり前じゃない！」

「そりゃあそうなんだが…」



言葉を濁す毛利さんに、その逮捕劇は一筋縄ではいかないものだったと察する。






「その事件なら私も聞いたことがあります。確かその男は所轄署に連行された後で――」

「白鳥くん！その話はもういい」


白鳥警部が補足しようとしたが、目暮警部が珍しく厳しい声音で遮った。



何か知られたくないこと、あるいは毛利さんに思い出させたくないことでもあるんだろうか。






「…しかし、村上丈はなぜ真っ先にこの俺を襲わないんだ？俺に恨みがあるなら直接――」

『毛利さんをじわじわと苦しめるためじゃないですか？親しい人たちがいなくなっていく方が辛いから…』


抱っこしていたコナンが、ジッと俺を見つめる視線に気づいた。



余計な気を遣わせているようだ。

彼を地面に下ろし、俺は大丈夫だと笑みを向ける。





「…ねぇ、おじさんの知り合いで名前に“十”のついた人はいないの？」

『この法則からいえば、次に狙われるのは“十”のつく人でしょうから』

「“十”か…。“じゅう”…“とお”…」



毛利さんは必死に頭を捻らせる。


そして…。





「あ…っ！十和子さん！」


どうやら思い当たる人物がいたようだ。









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