1087話 ページ38
控室にあったブランケットを引っ張り出し、畳の上に寝転がる。
扉側に背を向けて廊下の気配に集中する。
徐々に殺気が近づいて来た。
グッとブランケットを握りしめると、背後でゆっくりと扉が開く音がした。
「ッ、黒瀬…A…！」
忌々しく俺の名を呼ぶ声。
寝ているフリをして相手の出方を探っていると、気配が大きく動いた。
『っ…！』
体にかけていたブランケットをバサッと侵入してきたヤツにかぶせる。
「う、わ…ッ⁉」
動揺し、動きを止めた相手の右手に握られていたナイフを蹴り飛ばして、続けざまにブランケットを被ったままの相手の襟元辺りを掴み、ぐっと引き寄せ背負い投げた。
「うッ…ぅう…」
ブランケットを取り去り、相手を見下ろす。
若い男が痛みで唸っていた。
「黒瀬くん！無事か！」
控室に勢いよく目暮警部とコナンが入ってきた。
『あ、目暮警部。犯人制圧しました。あれが証拠です』
控室の床に転がるナイフと痛みで唸る男を交互に見やる目暮警部。
『動機も一応聞きます？分かり切ったことですけど』
男は俺を睨みつけながらもゆっくりと体を起こした。
「前作のドラマの時から…気に入らなかったんだよ…っ！何の努力もしてねぇくせに、急にドラマに出てちやほやされやがって…！」
暴れそうになる男を、慌てて控室に入ってきた高木刑事が取り押さえる。
「俺は俳優になるために今までずっと努力してきた！現場でバイトをしながら、この業界のことを勉強してたのに…、なんの努力もしてないお前が出しゃばってんじゃねぇよッ‼」
やはり予想通り、俺個人への怨恨だったようだ。
「だが、脅迫は犯罪だ！しかも、殺人未遂の疑いもある。詳しくは署で聞かせてもらおう」
「俺のように思ってるやつはたくさんいるぜ…！せいぜい他のやつに殺されないよう、気をつけな…！」
「口を慎みなさい！」
恨みをぶつけるように吠える男に向かって、目暮警部が強い口調で制す。
『言わせておけばいいんですよ、目暮警部。確かに、他にも俺へ恨みを持ってる人は多いかもしれない。あんたも血の滲むような努力をしてきたのかもしれない。――…でも』
スッと目を細め、男を見下ろす。
男の瞳が一瞬で怯えの色を移した。
『そんなの俺には知ったこっちゃねぇんだよ』
俺の一言で、目暮警部や高木刑事、コナンですらも表情が凍り付いた。
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サラ(プロフ) - 泣きました。最高の作品をありがとうございます。これからも応援してます (5月25日 0時) (
レス) @page50 id: 5dcf9ec97c (このIDを非表示/違反報告)
侑(プロフ) - シロツメクサの話だいっすきです、！特に2、毎回見る度泣きます、！この話を思いついた096さん神だと思います(真顔)最高です、！ありがとうございます！！ (2022年3月15日 10時) (レス) @page50 id: 8afc6fd8a6 (このIDを非表示/違反報告)
096 - りりこスタイルさん» こちらこそ感動していただきありがとうございます…！これからも見守ってあげてください！ (2020年8月20日 13時) (レス) id: e8c1cec671 (このIDを非表示/違反報告)
りりこスタイル - ヨツバの最後のセリフで泣いてしまいました。素敵なストーリーありがとうございます。これからも、黒瀬の幸せを願って見ていますね！ (2020年8月19日 22時) (レス) id: b80200442e (このIDを非表示/違反報告)
096 - 架印�靴気�» 妄想までしてくださってありがとうございます！（笑）ヨツバの最期、しっかり見届けてあげてください！妄想の感動が現実になっていればいいな…！と思っております！ (2020年8月18日 22時) (レス) id: e8c1cec671 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：096 | 作成日時：2020年7月21日 22時
