1060話 ページ11
次の撮影シーンの指示を受け、それを頭の中に入れ込む。
その間に氷上が現場に入ってきた。
俺を見つけた瞬間、駆け寄ってくる氷上。
「よろしくね。Aちゃん」
満面の笑みを向けられ、ぎゅっと抱きしめられた。
『っ、離れろ…！』
すぐに彼を突き飛ばす。
「照れなくてもいいのに〜」
気にした様子もなく氷上はヘラヘラと笑う。
確かに蓮はヨツバにだけ心を許していて、スキンシップも多い。
いつもヨツバの後ろをついて回る犬のようなキャラクターなのだ。
だが氷上よりは落ち着いているし、ほぼ無表情。
氷上のことも気にはなるが…見学者の1人からの視線が痛い…。
そんなこんなで立ち位置を確認してからのテスト撮影を終え、本番が始まる。
その瞬間、氷上が纏う空気が変わった。
さっきまでのヘラヘラした表情は消え、スッと切り替わったその顔は、蓮そのものだった。
そうか、これが…彼が支持される理由――…。
負けてはいられない、と俺も気を引き締め本番の撮影が始まった。
ヨツバが根城にしている雑居ビルの中で、蓮との出会いのシーンだ。
『“……誰”』
「“やっと…見つけた”」
突然部屋に入ってきた人物にベッドの上に寝転がりながら顔を向けた。
「“情報屋のヨツバさん、ですよね。貴方をずっと探していたんです”」
『“…俺を？”』
近寄ってきた蓮が俺が寝転がっているベッドに腰掛けた。
ギシッとベッドのスプリングが静かな空間に響く。
俺の顔の横に肘をつき、グッと顔を近づけられた。
台本にもない、さっきのテストでもしなかった、本番でのアドリブだ。
「“俺を貴方の傍においてください”」
台本通りなら、冷たく突っぱねて蓮に背を向けるが、彼は出て行かず、このシーンは終わる。
だが、向こうがアドリブを吹っかけてきたなら、こちらも違和感のないように返さなければならないだろう。
近距離にいた蓮の首をガッと掴んで押し退ける。
『“…俺は誰とも慣れ合うつもりはない”』
俺の首を掴むアドリブ返しに驚いた様子の氷上だったが、すぐに口元に笑みを浮かべた。
「カーット！」
カットの声がかかり、氷上の首から手を離した。
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サラ(プロフ) - 泣きました。最高の作品をありがとうございます。これからも応援してます (5月25日 0時) (
レス) @page50 id: 5dcf9ec97c (このIDを非表示/違反報告)
侑(プロフ) - シロツメクサの話だいっすきです、！特に2、毎回見る度泣きます、！この話を思いついた096さん神だと思います(真顔)最高です、！ありがとうございます！！ (2022年3月15日 10時) (レス) @page50 id: 8afc6fd8a6 (このIDを非表示/違反報告)
096 - りりこスタイルさん» こちらこそ感動していただきありがとうございます…！これからも見守ってあげてください！ (2020年8月20日 13時) (レス) id: e8c1cec671 (このIDを非表示/違反報告)
りりこスタイル - ヨツバの最後のセリフで泣いてしまいました。素敵なストーリーありがとうございます。これからも、黒瀬の幸せを願って見ていますね！ (2020年8月19日 22時) (レス) id: b80200442e (このIDを非表示/違反報告)
096 - 架印�靴気�» 妄想までしてくださってありがとうございます！（笑）ヨツバの最期、しっかり見届けてあげてください！妄想の感動が現実になっていればいいな…！と思っております！ (2020年8月18日 22時) (レス) id: e8c1cec671 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：096 | 作成日時：2020年7月21日 22時
