56話 漆黒の特急 ページ7
「私たちの席は子供達とは別の、ピッカピカの一等車なので、黒瀬さんにも気に入ってもらえると思いますよ!」
『え、いや、俺は子供達と一緒でいいですよ。一等車なんて俺には勿体無いですから』
笑みを浮かべて断る。
おい、小さくなった高校生探偵よ。
背後で呆れた目をして俺を見るな。
「えー!?そんなことないですよ!」
『女性と同席なんて、緊張しちゃうし、二人にも気を遣わせてしまいますから』
本音は、ぐいぐい来る園子から逃げたいだけだが。
「わかりました…、でも、遊びに来てくださいね!」
『はい。時間が出来たら伺います』
なんとかこの場は切り抜けられたか。
「そういえば、その一等車だよね?今度キッドが狙うって予告したの」
キッド…、といえば、もしかしてあの怪盗キッド?
「そーなの!いつもはこの列車、年に一回しか運行しないんだけど、次郎吉おじ様が特別に走らせて、なんとかって宝石を展示するって発表したら、キッド様ノってきちゃってさぁ!」
目を輝かせて興奮する園子。
怪盗キッドか…。
あの規格外のマジックで盗みを働く彼には、俺でもどうすることもできない。
この直感力と勘で、彼の得意の変装を見破ることくらいはできるだろうか…。
見破ったところで、何も出来ないが。
「僕はそんな泥棒よりも、毎回車内でやってる推理クイズのほうが気になるけどな」
中世的な声が割り込んできて、そちらを振り返ると、いつかの事件のとき、バイクに乗っていた人が現れた。
「世良さん!どうして…」
「僕は探偵。乗るのは当然!」
彼女が現れた瞬間、灰原はフードを被り顔を逸らした。
コナンも灰原の隣で睨みをきかせている。
『蘭さん、彼女は?』
灰原を背後に隠すように彼女の前に身体を滑り込ませ、世良と呼ばれる女性を見る。
「あ、彼女は世良真純さん。同じ高校で、彼女も探偵なんです。世良さん、彼は黒瀬Aさん。最近お世話になってるの」
「ふーん?この間見かけた気がするよ、君の事。コナンくんが誘拐されたってとき」
『…ああ、バイクに乗ってた方ですね!あの時はお見事でした』
しらばっくれてそういうと、彼女は分かりやすく上機嫌になった。
そのとき、8号車前で他の客となにやら話す毛利さんを見つけ、蘭が慌てて彼を呼びに行った。
コナンもそれについていく。
…覚悟はしていたけどやっぱり、何か起きそうな予感がするなぁ…。
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鹿野ユズナ(プロフ) - いえ、お力になれたようでよかったです! (2019年4月25日 11時) (レス) id: f48090b258 (このIDを非表示/違反報告)
096 - 鹿野ユズナさん» コメントありがとうございます!恥ずかしながら、ずっと勘違いしておりました…。次回から気をつけます!ご指摘本当にありがとうございました! (2019年4月21日 21時) (レス) id: d9ca70487a (このIDを非表示/違反報告)
鹿野ユズナ(プロフ) - こめかみ、漢字変換が全てお米の神様になってます………… (2019年4月21日 5時) (レス) id: f48090b258 (このIDを非表示/違反報告)
096 - 大福さん» コメントと嬉しいお言葉ありがとうございます!これからも読みやすく楽しい小説を目指して頑張るので、よろしくお願いします! (2019年3月13日 20時) (レス) id: d9ca70487a (このIDを非表示/違反報告)
大福 - 楽しく、読みやすいです。続きが気になります!次の更新楽しみに待ってます。 (2019年3月12日 16時) (レス) id: 2b112b86de (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:096 | 作成日時:2019年2月11日 21時