55話 漆黒の特急 ページ6
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工藤邸に泊まってから数日。
俺はほぼ毎日コロンボのシフトに入っていた。
安室さんとは、あの電話があった日以来話していない。
家にも帰ってこないし、俺から電話をかける用事もない。
コロンボにはたまにコナンや少年探偵団、蘭やその友人の園子も遊びに来た。
鈴木園子にはなぜかすごく気に入られ、さすがの俺もたじたじになってしまった。
そんな彼女に、話の流れでミステリーが好きだと言ったら、是非、とミステリートレインという列車の旅に招待された。
列車に乗りながら、謎解きをする、というものらしい。
その列車のオーナーが、鈴木財閥らしい。
最近働きづめで、たまには息抜きして来いという店長の言葉に、断るわけにも行かず、俺はその招待を承諾した。
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『遅れてごめんなさい』
東京駅のホームに行くと、既にコナンを含めた少年探偵団と阿笠博士、蘭と園子が来ていた。
「黒瀬さん!来てくれて嬉しいです!」
隠すことなく好意を向けてくる園子に苦笑いをする。
「君が黒瀬Aくんじゃな。いつもこの子達がお世話になってるのぉ」
『阿笠博士ですね。初めまして。あ、スマホ、ありがとうございます。とても助かってます』
「いやいや、礼には及ばんよ」
少年探偵団の中に、まだ挨拶をしていない子を見つけて、俺は身を屈める。
『初めまして、黒瀬Aです。よろしくね』
「……灰原哀。よろしく」
素っ気無く挨拶をする彼女は、もちろん知ってる。
元組織の人間で、コナンと同じ薬で体が小さくなった女性だ。
薬は彼女が作ったもので、確か科学者、だったか。
『風邪引いてるの?大丈夫?』
マスクをして時々咳き込む彼女に首を傾げる。
「問題ないわ」
子供を演じる気があるのだろうか…。
『それにしても、立派な列車ですね。ベルツリー急行、でしたっけ?』
目の前には煙を噴き上げながら停車している真っ黒な蒸気機関車があった。
「はい!黒瀬さんに楽しんでもらえたら嬉しいです!」
『はは、楽しみにしてます』
苦笑すると、蘭がそっと耳打ちしてきた。
「ごめんなさい。園子、イケメンに目がなくて…」
『俺なんかがイケメンって括りなのが謎ですけど、嫌われてるよりはマシですよ』
「いや、黒瀬さん、相当ですよ?」
イケメンって言うのは、安室さんや赤井さんのことを言うのだ。
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鹿野ユズナ(プロフ) - いえ、お力になれたようでよかったです! (2019年4月25日 11時) (レス) id: f48090b258 (このIDを非表示/違反報告)
096 - 鹿野ユズナさん» コメントありがとうございます!恥ずかしながら、ずっと勘違いしておりました…。次回から気をつけます!ご指摘本当にありがとうございました! (2019年4月21日 21時) (レス) id: d9ca70487a (このIDを非表示/違反報告)
鹿野ユズナ(プロフ) - こめかみ、漢字変換が全てお米の神様になってます………… (2019年4月21日 5時) (レス) id: f48090b258 (このIDを非表示/違反報告)
096 - 大福さん» コメントと嬉しいお言葉ありがとうございます!これからも読みやすく楽しい小説を目指して頑張るので、よろしくお願いします! (2019年3月13日 20時) (レス) id: d9ca70487a (このIDを非表示/違反報告)
大福 - 楽しく、読みやすいです。続きが気になります!次の更新楽しみに待ってます。 (2019年3月12日 16時) (レス) id: 2b112b86de (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:096 | 作成日時:2019年2月11日 21時