79話 謎解きするバーボン ページ30
毛利さんは、桃園さんが犯人だと言い当て、そのトリックまで言い当てた。
「なんか、動いてると嘘くさいわね」
推理は当たっているのに、眠っていないと信用されないらしい。
「じゃあ、合鍵はどこにあるのよ!?」
「鍵!かかってただろ!石栗の部屋!」
「そ、それは多分、そのうちどこかで見つかる…」
やはり、そこまでは考えていなかったようだ。
「琴音さんが飲んでいたスポーツドリンク、やはりあの中に鍵を…」
「ムリムリ!あたしもあのドリンク飲ませてもらったけど、ほとんど凍ってて、中身がなかなか出てこなかったんだから」
「じゃあ、凍らせる前に鍵をいれていたとか…」
「だったら、ペットボトルの底から透けて見えてると思います。鍵は重いので」
「だったらさ、鍵を入れたとたんに凍っちゃうような、魔法の水があればできるかもね」
「ばーか!そんな漫画みたいな水があるわけが――」
「ありますよ。過冷却水。…ですよね?黒瀬さん」
まさかの話を投げられ、戸惑いながらも安室さんに次いで説明する。
『水が凍るはずの凝固点、0度以下になっても氷にならずに、液体のままでいられる水の事で、振動などの刺激を与えると、急速に凍り始めるんです。作り方は、均一に冷えるようにペットボトルをタオルで巻き、マイナス5度くらいの冷凍庫に4、5時間寝かせるだけ。振動を与えると、ペットボトルの表面に沿って、上のほうから凍り始めます。おそらく桃園さんは、過冷却になったスポーツドリンクの中に鍵を入れて、それを園子さんに飲ませたんでしょう。…合ってます?』
これ以上喋るのは憚られるので、安室さんに視線を向ける。
「ええ。上出来です。さすが僕の助手。スポーツドリンクは濃い色がついてますし、ジェル状に凍るので、中の鍵は見えなかったというわけです」
「じゃあ、そのスポーツドリンクを溶かせば…」
「ええ。出てくるでしょうね。琴音さんが石栗さんを殺害したという痕跡がね」
「そ、そんなの出てきてから言いなさいよ!」
「出てこなかったら、あんたら――」
「だめよ」
激昂した友人二人を止めたのは、桃園さんだった。
「出てきちゃうから。私の指紋がばっちりついてる合鍵がね。しかも私、焦ってその鍵、石栗くんの血の上に落としちゃったし」
その言葉に顔を歪めたのは園子。
血のついた合鍵入りのスポーツドリンクを飲んでしまったんだから。お気の毒に。
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鹿野ユズナ(プロフ) - いえ、お力になれたようでよかったです! (2019年4月25日 11時) (レス) id: f48090b258 (このIDを非表示/違反報告)
096 - 鹿野ユズナさん» コメントありがとうございます!恥ずかしながら、ずっと勘違いしておりました…。次回から気をつけます!ご指摘本当にありがとうございました! (2019年4月21日 21時) (レス) id: d9ca70487a (このIDを非表示/違反報告)
鹿野ユズナ(プロフ) - こめかみ、漢字変換が全てお米の神様になってます………… (2019年4月21日 5時) (レス) id: f48090b258 (このIDを非表示/違反報告)
096 - 大福さん» コメントと嬉しいお言葉ありがとうございます!これからも読みやすく楽しい小説を目指して頑張るので、よろしくお願いします! (2019年3月13日 20時) (レス) id: d9ca70487a (このIDを非表示/違反報告)
大福 - 楽しく、読みやすいです。続きが気になります!次の更新楽しみに待ってます。 (2019年3月12日 16時) (レス) id: 2b112b86de (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:096 | 作成日時:2019年2月11日 21時