70話 ページ21
「あ、の…黒瀬さん…?」
『ふふ、安室さんのその表情は新鮮だな』
くしゃくしゃと髪を掻き回し、手を離せば、ボサボサの髪のまま、彼は呆然と俺を見つめていた。
優しさに、慣れていないんだろう。
俺と同じだ。
だから、俺は貴方から与えられる優しさに戸惑い、そして同時に、とても温かいものを感じた。
『俺は貴方を守りたい。傍で支えられる存在でありたいと思います』
自分で言ってて、キザだと思う。
女性に言ったら、それこそプロポーズだと思われてしまうかもしれない。
「…不思議な人ですね、貴方は」
ようやく、彼は笑った。
彼が俺と同じ職だと、完全に分かったわけじゃない。
でも、奥に秘めた正義はきっと同じ。
俺が欲しかったものを、そのまま貴方にあげられたらいいと思う。
「ところで黒瀬さん」
『はい?』
「…あの大量のコンビニ弁当やカップ麺のゴミはなんです?」
あれれ〜?おかしいぞ〜?今いい雰囲気だったよねぇ?
安室さんはキッチンに置かれているゴミ袋の中に押し込まれた、大量のゴミの存在に気づいたらしい。
安室さんが留守にしていた数日は、コンビニ弁当とカップ麺が俺の主食だった。
だってしょうがないじゃないか。
俺なんかが料理したら、キッチン血だらけになるし、最悪火事になる。
『…俺も忙しくて』
曖昧に笑うと、彼は呆れたように溜息を吐いた。
「全く。…貴方には、僕がいないとダメなようですね」
これが彼なりの答えなのかもしれない。
もしかしたら本当の彼は、あまり素直じゃない人なのかも…、と思った瞬間だった。
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鹿野ユズナ(プロフ) - いえ、お力になれたようでよかったです! (2019年4月25日 11時) (レス) id: f48090b258 (このIDを非表示/違反報告)
096 - 鹿野ユズナさん» コメントありがとうございます!恥ずかしながら、ずっと勘違いしておりました…。次回から気をつけます!ご指摘本当にありがとうございました! (2019年4月21日 21時) (レス) id: d9ca70487a (このIDを非表示/違反報告)
鹿野ユズナ(プロフ) - こめかみ、漢字変換が全てお米の神様になってます………… (2019年4月21日 5時) (レス) id: f48090b258 (このIDを非表示/違反報告)
096 - 大福さん» コメントと嬉しいお言葉ありがとうございます!これからも読みやすく楽しい小説を目指して頑張るので、よろしくお願いします! (2019年3月13日 20時) (レス) id: d9ca70487a (このIDを非表示/違反報告)
大福 - 楽しく、読みやすいです。続きが気になります!次の更新楽しみに待ってます。 (2019年3月12日 16時) (レス) id: 2b112b86de (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:096 | 作成日時:2019年2月11日 21時