51話 ページ2
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たどたどしく料理をしながら、煮込むこと数時間。なんとかカレーは完成した。
「君、料理したのは何年ぶりだ?」
『はは、何年ぶりだろうね…』
「見ていてヒヤヒヤしたぞ」
顔に似合わずテキパキと野菜を切る赤井さんの横で、俺はプルプルと震えながら包丁を握り、何度も指を切っていた。
邪魔しかしなかった気もするけど、カレーは美味しそうだ。
「ご両親がいないっていうのは本当だよね?今まで何を食べてたの?」
『コンビニ弁当やカップ麺を…。こっちに来てからは安室さんの世話になりっぱなしで…』
「よく栄養失調で倒れなかったね…」
カレーを盛り付けながら、コナンが呆れたように呟く。
職業柄、体調には気をつけないととは思っていたが、食事を作る時間はほとんどなかったからな。
倒れるヒマもなかった。
カレーを机に運び、食卓を三人で囲む。
不思議な光景だ。
まさかここまで打ち解けるとは…。
『いただきます』
誰かの手作りカレーなんて…、何年ぶりだろう。
『…美味しい』
「それはよかった」
「赤井さん、また腕あがったね」
そう言うコナンに赤井さんは得意げだ。
『そういえば、赤井さんが沖矢昴だと知っているのは誰なんだ?』
はたと気付き、手を止めた。
「今のところはボウヤと、工藤夫妻、隣に住む阿笠博士と、FBIの俺の上司であるジェイムズだけだ」
「変装は新一兄ちゃんのお母さんが協力したんだ!ジェイムズさん以外のFBIの人たちや組織の人間は、赤井さんは死んだと思っているよ」
『組織の…?』
「俺は以前、FBI捜査官として組織に潜入していた」
彼も潜入捜査官だったのか。
「ボウヤの機転のおかげで、生き長らえたがな。今は赤井秀一は死んだ、ということにしておいたほうが動きやすい」
『わかった。まぁ、ないと思うけど、何か聞かれたらそういうことにするよ』
「随分と飲み込みが早いな。俺達のことを多少は知っているようだが、君の状況把握能力は頭一つ抜きん出ているようだ」
「それ、僕も思ってた。黒瀬さんって、対応能力も高いし、昨日推理もしてたし、前の世界では探偵でもやってたの?」
まさかその話になるとは。
俺が元公安の潜入捜査官だと言っても今はそんなに影響はないだろうから、構わないのだけれど…。
今一気に全部打ち明けるのは、面白くない。
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鹿野ユズナ(プロフ) - いえ、お力になれたようでよかったです! (2019年4月25日 11時) (レス) id: f48090b258 (このIDを非表示/違反報告)
096 - 鹿野ユズナさん» コメントありがとうございます!恥ずかしながら、ずっと勘違いしておりました…。次回から気をつけます!ご指摘本当にありがとうございました! (2019年4月21日 21時) (レス) id: d9ca70487a (このIDを非表示/違反報告)
鹿野ユズナ(プロフ) - こめかみ、漢字変換が全てお米の神様になってます………… (2019年4月21日 5時) (レス) id: f48090b258 (このIDを非表示/違反報告)
096 - 大福さん» コメントと嬉しいお言葉ありがとうございます!これからも読みやすく楽しい小説を目指して頑張るので、よろしくお願いします! (2019年3月13日 20時) (レス) id: d9ca70487a (このIDを非表示/違反報告)
大福 - 楽しく、読みやすいです。続きが気になります!次の更新楽しみに待ってます。 (2019年3月12日 16時) (レス) id: 2b112b86de (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:096 | 作成日時:2019年2月11日 21時