【名探偵コナン】異世界の訪問者18《男主》

898話 ページ49

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警視庁のロビーで勢いよく頭を下げられ、プロポーズ。
しかもなかなかのボリュームだ。


行きかう人々の注目の的になる。




『…えっ。あ、あの…』

「私を庇うあの背中に、本気で恋をしてしまいました。1人の女性として恋をし、結婚したい。その望みを、黒瀬さんと叶えたいと思ったんです！お願いします！」


彼女の本気は伝わってくる。


ついでに背後からの禍々しいほどの冷気も。



“修羅場ね…”と佐藤刑事が呟くのが聞こえた。






「黒瀬さん、私からもお願いします。貴方の雄姿は北條財閥を継ぐにふさわしい。どうか、孫の婿に」


祖母からも頭を下げられてしまう。




「……どうするんですか？Aさん」


怖いくらいに笑顔の安室さんに急かされる。




『え…えぇぇ……』


どうするか、なんて…分かり切っているくせに…。






『――…すみません、椿さん。…俺、婚約者がいるんです。その人には俺がいないと…、俺もその人がいないと生きていけないんです。だから、お見合いの件は本当に最初から断るつもりでした』

「……そ、うですよね。…最初からそのつもりだって、わかっていたのに私ったら…」



涙を浮かべて落ち込む椿さんの姿に、罪悪感がないわけではないが、これ以上期待させる方が残酷だ。





『こんなぽっと出の男はダメですよ。ちゃんと見極めて、恋をしてください。椿さんなら素敵な人に出会えます』

「……はい。…ありがとう、ございます」



完全に諦めてくれたようで、椿さんは涙で潤んだ瞳でも笑ってくれた。




そして祖母と2人で帰っていった。






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