893話 ページ44
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どうやら、うまくいったようだ。
「おい、どうなってんだ!パトカーの音がするじゃねぇか!」
「落ち着け!俺たちが嗅ぎつけられたとは限らねぇ!他で事件があったんだろ」
慌てる男どもを内心嘲笑う。
お前らを迎えに来たサイレンの音だよ、ばーか。
――数十分前、暗号が伝わったらしく、外に零さんの気配を感じた。
どこか殺気立った、愛おしい彼の気配。
間違うはずもない。
一人でこの周囲を捜索するのは無理があるだろうし、他にも誰か一緒で、何手かに別れて俺を探しているんだろう。
そんな中でも、零さんが来るなんて…やはり運命だ。
――なんてロマンチックな思考に苦笑する。
気配を感じて少ししてから、婚約者役の佐藤刑事に連絡を取ることを許された。
それらしい言葉の最後に、普段は使わない“透”の名を挙げて。
このパトカーのサイレンは、終盤戦の合図。
そろそろ縛られた手足が痛いし…何より――…お腹空いた。
『…あーあ。もういいんじゃないですか?』
突然声を上げると、焦っている男たちはピリッとした殺意を俺に向けた。
「なんだ?てめぇが何かしやがったのか」
『さぁ?言えるとしたら、身代金まで得ようなんて余裕ぶってないで、さっさと俺を売ればよかったんだ。それに、俺を攫った時点でお前らの運が尽きた』
「あぁ⁉」
『――…美和子含め、俺の周りは警察や探偵で溢れてるから』
バンッと玄関から扉が破られる音が聞こえた。
そしてドタドタと慌ただしい数人の足音。
「な、なんだお前ら!」
「っ、A!」
俺がいる部屋の扉が勢いよく開かれた。
『思ったより早かったな。さすが』
微かに笑みを浮かべると、彼はホッと安堵の表情を見せ…傍にいたリーダーと思われる男を思いきり殴り飛ばした。
「ぅがっ…!」
吹っ飛んだ男は壁に背をぶつけ、気を失った。
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096 - はしもんさん» ありがとうございます!これからもよろしくお願いします! (2020年4月21日 13時) (レス) id: e8c1cec671 (このIDを非表示/違反報告)
はしもん(プロフ) - 898、899話更新お疲れ様です! これからもずっとずっと、応援させてください(´˘`*) 大好きです!! (2020年4月20日 14時) (レス) id: 3a59eb0a02 (このIDを非表示/違反報告)
096 - 稲荷さん» はじめまして!嬉しいお言葉ありがとうございます!このコメントを読んでから私も改めて“さだめ”を聴いたら、確かに…!となりました!曲を聴いて2人を思い出してくれるなんて嬉しいです!これからも応援よろしくお願いします! (2020年4月20日 13時) (レス) id: e8c1cec671 (このIDを非表示/違反報告)
096 - くれはさん» まだ終わりません…!(笑)どうぞお楽しみに…!! (2020年4月20日 13時) (レス) id: e8c1cec671 (このIDを非表示/違反報告)
096 - はしもんさん» 一難去ってまた、という感じですね!いえいえ!私も話数ミスがあったので、修正しました! (2020年4月20日 13時) (レス) id: e8c1cec671 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:096 | 作成日時:2020年3月22日 22時