854話 紺青の拳 ページ5
このままホテルまで走ってたんじゃ、完全に手遅れだ。
「この人混みだとホテルに近づけねぇ…!」
『……キッド!』
観光船のボートが停まっている桟橋に、あの人の姿を見つけた。
俺が示す方を見て、キッドも彼を見つけたらしい。
「しゃあねぇ、一か八かだ!ちゃんとついてきてくれ!」
桟橋に向かって走り出すキッドのすぐ後ろを追う。
海に飛び込む勢いで走っていたキッドは桟橋で待機していた寺井さんから一瞬でプロペラ付きのエンジンを受け取り、その身を白いタキシードに変えた。
気づいた時にはキッドに抱えられ、海の上を飛んでいた。
その間、1秒もなかった。
こんなに近くにいたのに、キッドになる瞬間を全く目で追えなかった。
でも、俺とコナンの2人を抱えて飛ぶのは、長くはもたないはず…。
コナンは再び蘭に電話をかけているようだが、変わらず繋がらないらしい。
そのときだった。
『っ、前――ッ!』
タンカーの船首に立っていた海賊がこちらに向けて何かを構えたのが見えた。
すぐに放たれたそれは真っすぐにこっちに向かってきている。
「なっ…!」
どうやらロケットランチャーのようだ。
間一髪でそれを回避したキッドだったが、なりふり構っていられない。
『キッド!どっかで俺を下ろせ!俺がいたんじゃ、回避の動きも鈍くなって細かい動き出来ねぇだろ!』
「んなこと言ったって…!うおっ!」
続けざまに放たれるロケット弾を再びキッドは躱す。
無闇に撃たれたら、それこそ街を壊してしまう…!
だが、そんな俺の不安をよそに、一発のロケット弾が植物園であるガーデンズ・バイ・ザ・ベイに被弾した。
爆音とともに黒煙が立ち上る。
このままじゃ、レオンの思う壺だ…っ!
レオンはどこかで高みの見物をしていることだろう。
このシンガポールの街が壊れていく瞬間を。
それを一番見渡せる特等席はやっぱり…マリーナベイ・サンズホテルの屋上、サンズ・スカイパーク…。
軍のヘリがタンカーに向けて飛んでいく。
やがてタンカーは岸に衝突し、動きを止めた。
地上では、海賊と警察による銃撃戦が始まっていた。
「タンカーが止まった!キッド!」
「ここは警察に任せよう」
キッドはマリーナベイに向かって大きく旋回した。
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096 - はしもんさん» ありがとうございます!これからもよろしくお願いします! (2020年4月21日 13時) (レス) id: e8c1cec671 (このIDを非表示/違反報告)
はしもん(プロフ) - 898、899話更新お疲れ様です! これからもずっとずっと、応援させてください(´˘`*) 大好きです!! (2020年4月20日 14時) (レス) id: 3a59eb0a02 (このIDを非表示/違反報告)
096 - 稲荷さん» はじめまして!嬉しいお言葉ありがとうございます!このコメントを読んでから私も改めて“さだめ”を聴いたら、確かに…!となりました!曲を聴いて2人を思い出してくれるなんて嬉しいです!これからも応援よろしくお願いします! (2020年4月20日 13時) (レス) id: e8c1cec671 (このIDを非表示/違反報告)
096 - くれはさん» まだ終わりません…!(笑)どうぞお楽しみに…!! (2020年4月20日 13時) (レス) id: e8c1cec671 (このIDを非表示/違反報告)
096 - はしもんさん» 一難去ってまた、という感じですね!いえいえ!私も話数ミスがあったので、修正しました! (2020年4月20日 13時) (レス) id: e8c1cec671 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:096 | 作成日時:2020年3月22日 22時