【名探偵コナン】異世界の訪問者18《男主》

886話 ページ37

スマホは当然取り上げられてしまっている。

こんなことなら、GPS搭載してもらっておけばよかったな…。




床を這い、窓際に移る。

部屋の中は椅子が一脚と撮影に使うカメラと三脚が置いてあるだけで、他には何もない。



窓は一つ。
ギリギリ俺と同じ身長くらいのところにある小さな窓だ。





『っ…くそ、ギッチギチに結びやがって……っ』


手足を縛っているのは荒縄で簡単にほどけるものではない。


しかも手は後ろ手に縛られている。

なんとか体を起こし、壁を使って立ち上がる。




『んーっと…』




つま先で立って、小さな窓から外を見やる。


やはりどこかの住宅街のようだ。



何か、目立つ建物は――…。






『……あ』


窓ぎりぎりの位置に、見慣れた建物が見えた。





『ぅわ…っ』


ぐらりとバランスを崩し、しりもちをつく。





「おい、うるせぇぞ！何してる！」


音に気付いた男が一人部屋に入ってきた。




「…何してた」

『…別に。ずっとこの状態で体が痛いから、少し動かしてただけ』

「……逃げようなんて真似、すんじゃねぇぞ」



あっさりと男は部屋から出ていく。







――…目印になるものは見つけた。
どうやらここはまだ米花町のようだ。


そのことに内心ホッとする。





あとはその目印を、どうやって伝えるか…だ。






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