【名探偵コナン】異世界の訪問者18《男主》

881話 -Side降谷- ページ32

-Side降谷-





《お前の婚約者を預かってる。無事に返してほしければ1億用意しろ。明後日までに用意出来なければ、大事な婚約者は物好きなジジイ共の慰み者になるぜ》

《………彼は無事なの？》

《ああ、もちろんだ。綺麗な顔に傷一つでも付けたら、価値が下がるからな。それと、今後俺たちからのメッセージは配信サイトで送っていく。このあと送るURLを開け。…分かってると思うが警察に言ったら婚約者はすぐ裏社会に回してやるからな》


会話はそこで途切れた。





高木刑事につれられ、警視庁にやってきた僕とコナンくん、蘭さんは佐藤刑事と犯人のやり取りの録音を聞かせてもらった。




「黒瀬くんが誘拐されたって通報を受けてから、突然彼から連絡が来て、もしかして…と思って出てみたら案の定よ」

「で、でも…なんで彼は佐藤さんに？しかも婚約者って…」

「女の私なら犯人は警戒を薄めるし、手っ取り早く警察に状況が知れる。黒瀬くんはそれを狙って私を婚約者だと言って犯人に電話をかけさせたんだと思うわ」

「そっか。Aさんには両親がいないし、男の安室さんが電話で対応したら、犯人が警戒するもんね」



誘拐されてもやはり、頭は冷静なようだ。


そのことに安心するも、いずれAの居場所を示す手掛かりはない。




「それで、犯人からのURLっていうのは…？」


蘭さんの問いに、佐藤刑事が自身のスマホの画面を僕たちに見せてくれた。




「今はまだ何もない状態だけど、向こうの配信が始まると、動画付きで見られるようになるみたい」

「じゃあ、配信を待つしかないってことですか…？」

「そうも言っていられん。佐藤くんは配信が来るのをここで待機。高木は黒瀬くんが攫われた状況をもう一度詳しく料亭のスタッフや北條氏から聞き込んで来い。佐藤くんが警察の人間だと犯人が気付いたら黒瀬くんの身は保証できん」

「は、はい…！」



目暮警部の指示で、高木刑事や他の捜査員たちは部屋を出ていく。





「…目暮警部。僕も佐藤刑事と一緒に、配信を待ってもいいでしょうか」

「うむ。安室くんも彼が心配だろう。構わんよ」



Aが僕の連絡先を教えなかったのは、確かに犯人が警戒するからというのもあるかもしれない。

だが、僕の存在を不用意に他人に知らせないようにするためでもあるんだろう。



こういうとき、自分の立場が枷になる。






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