検索窓
今日:96 hit、昨日:266 hit、合計:517,642 hit

865話 ページ16






『…またこの中に入るのか…』



目の前には、シンガポールに来た時に入れられていたスーツケースがあった。




「じいちゃんが送ってってくれるからよ。文句はまたあとで聞くから」

「私が責任をもって日本へお連れします」


快斗の隣で寺井さんが深々と頭を下げる。






事件が終わり、レオンとリシ、ジャマルッディンと海賊たちは数人逮捕され、マリーナベイの復旧には鈴木財閥が加わることになった。


いざ帰国、となったとき俺は自分がこの国に来た方法を思い出したのだった。





『はぁ…。まぁ、帰るためには仕方ないか』

「そん中で寝てればあっという間につくからよ」



簡単に言ってくれる…。





『…快斗。俺、ちゃんとあの人と話すから』


じっと快斗を見て告げると、彼は安心したように微かに笑った。




『全部無意識だったんだ。今まで。それに気づかせてくれて、ありがと』

「…黒瀬さんが素直だと怖いんだが」


わずかに顔面を蒼白にさせる快斗に今度は俺が笑う。




『Aでいいよ。それと、俺からもひとつ忠告してあげる』

「え、なんだ…?」

『帰国したら、気をつけな』



――蘭は、お前が怪盗キッドだということに最初から気づいていたようだから。






後半は言わず、スーツケースの中に入る。




「ど、どういう意味だよ」

『じゃ、また日本で。寺井さん、お願いします』

「かしこまりました」

「お、おい!Aさん!」



慌てる快斗を最後に、自らスーツケースを閉じた。




柔らかいクッションを抱き込んで、ふぅっと息を吐く。





早く、零さんに会いたい。


こうして離れたところで事件に巻き込まれることが増えたから、余計心配させてしまっているだろう。

今回はベルモットとも接触してしまったから余計にだ。



迎えに来てもらって早く会いたいところだが、入国の方法が方法な為、難しいだろう。

空港に着いたらちゃんと自分の足で家に帰ろう。





そう決めて、僅かな揺れと疲れに眠気を誘われ、そっと目を閉じた。






866話→←864話 紺青の拳



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (446 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
817人がお気に入り
設定タグ:名探偵コナン , 降谷零 , 男主   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

096 - はしもんさん» ありがとうございます!これからもよろしくお願いします! (2020年4月21日 13時) (レス) id: e8c1cec671 (このIDを非表示/違反報告)
はしもん(プロフ) - 898、899話更新お疲れ様です! これからもずっとずっと、応援させてください(´˘`*) 大好きです!! (2020年4月20日 14時) (レス) id: 3a59eb0a02 (このIDを非表示/違反報告)
096 - 稲荷さん» はじめまして!嬉しいお言葉ありがとうございます!このコメントを読んでから私も改めて“さだめ”を聴いたら、確かに…!となりました!曲を聴いて2人を思い出してくれるなんて嬉しいです!これからも応援よろしくお願いします! (2020年4月20日 13時) (レス) id: e8c1cec671 (このIDを非表示/違反報告)
096 - くれはさん» まだ終わりません…!(笑)どうぞお楽しみに…!! (2020年4月20日 13時) (レス) id: e8c1cec671 (このIDを非表示/違反報告)
096 - はしもんさん» 一難去ってまた、という感じですね!いえいえ!私も話数ミスがあったので、修正しました! (2020年4月20日 13時) (レス) id: e8c1cec671 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:096 | 作成日時:2020年3月22日 22時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。