【名探偵コナン】異世界の訪問者18《男主》

875話 ページ26

複数の不穏な気配は、こちらに近づいてきていた。


そして、襖が勢いよく開かれる。




「きゃあ…！」


後ろで椿さんが悲鳴を上げた。





「ここか。北條のお嬢様が見合いしてるっていうのは」

「…あ？おい、一緒にいるの、黒瀬Aじゃねぇか」

「北條のお嬢様と黒瀬Aが見合い？そりゃスキャンダルだな」



入ってきたのは3人の男。
覆面を付けており、顔は見えない。


狙いはこのお嬢様。
となると、誘拐して身代金目当てか…？


なんで毎回毎回…1人でもこんなことに巻き込まれるんだ…。


見合いの場に、エアガンなんて物騒なもの持ってきてないぞ。




お嬢様を守りながら3対1…。
向こうはおそらく武器を所持している。分が悪いな。




「椿…！」

「お婆ちゃん！」



不運なことに、騒ぎを聞きつけた祖母が戻ってきてしまった。



祖母は一人の男にナイフを突きつけられ動きを止めた。




「ほらお嬢様。この老いぼれを傷つけたくなければ、大人しくついてこい」

「なぁ、ついでだし、こいつも連れて行こうぜ。テレビでこいつを見て、お気に召したやつら多いらしいしよ」



ターゲットに俺も含まれたようだ。
ほんとついてない。


こちらが妙な動きをしたら、お婆さんに危害が及ぶ。





「く、黒瀬さん…」


背中にぎゅっと椿さんがしがみ付いた。



全員ここから離脱するのはおそらく無理だ。

――…そうなると。





『…分かった。俺が行く。その代わり、2人は見逃してください』


降参ポーズで両手を上げる。





「黒瀬さん…⁉」

「へぇ、なよなよした顔で男気あるじゃねぇか」




…誰がなよなよした顔だって…？とピキッとしたが我慢。



ここを乗り切る打開策は、俺一人だけ犠牲になること。




守るものがなければ、いくらでも打破できる。





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