873話 ページ24
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指定されたこじんまりとした料亭の前に辿り着き、ひとつ息を吐いた。
見合いと言っても、顔合わせみたいなものだ。
一応、フォーマルなスーツを零さんから借りて着てきたが、さっさと断りを入れてポアロに行こう。
「黒瀬様ですね。お待ちしておりました。ご案内いたします」
料亭の女将さんに案内され、一室に案内される。
『失礼します。遅くなってすみません』
部屋の中には、昨日助けたお婆さんと綺麗な着物でめかし込んだ孫娘がいた。
「ああ、黒瀬さん。お待ちしてました」
微笑むお婆さんとは正反対に、俺の姿に驚いたように動揺する孫娘。
礼をかかないよう、丁寧な所作で二人の向かいに座り、一礼。
「お、お婆ちゃん、どういうこと…⁉この方、黒瀬Aさんじゃない…!」
やはり詳しい話は聞かされていないらしい孫娘が祖母に詰め寄る。
「知ってるのかい?」
「知ってるも何も、有名人よ!今はもう引退してしまったけど…!」
「あらぁ、どうりで端正なお顔立ちだと思ったわ」
2人のやり取りに、いつ断りを切り出そうかと困っていると、孫娘がこちらを見た。
「あ、の…!初めまして。北條椿と申します。今回は急にこんなことになってすみません…。それと、祖母を助けていただいたようで、ありがとうございます」
意外にも礼儀正しい態度に、もしかしてどこかのご令嬢か…?と勘繰る。
身なりもいいし、昨日の今日でこんないい料亭を押えられるのなら、結構なお金持ちかもしれない。
『いえ、当然のことをしたまでですから』
「ふふ、あとは若い二人にお任せするわ」
お婆さんはお決まりのセリフを残して部屋を出て行ってしまった。
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096 - はしもんさん» ありがとうございます!これからもよろしくお願いします! (2020年4月21日 13時) (レス) id: e8c1cec671 (このIDを非表示/違反報告)
はしもん(プロフ) - 898、899話更新お疲れ様です! これからもずっとずっと、応援させてください(´˘`*) 大好きです!! (2020年4月20日 14時) (レス) id: 3a59eb0a02 (このIDを非表示/違反報告)
096 - 稲荷さん» はじめまして!嬉しいお言葉ありがとうございます!このコメントを読んでから私も改めて“さだめ”を聴いたら、確かに…!となりました!曲を聴いて2人を思い出してくれるなんて嬉しいです!これからも応援よろしくお願いします! (2020年4月20日 13時) (レス) id: e8c1cec671 (このIDを非表示/違反報告)
096 - くれはさん» まだ終わりません…!(笑)どうぞお楽しみに…!! (2020年4月20日 13時) (レス) id: e8c1cec671 (このIDを非表示/違反報告)
096 - はしもんさん» 一難去ってまた、という感じですね!いえいえ!私も話数ミスがあったので、修正しました! (2020年4月20日 13時) (レス) id: e8c1cec671 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:096 | 作成日時:2020年3月22日 22時