767話 ページ18
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「つまり、どういうことだ?」
書置きだけを残し、天野先生の家から出た。
風見さんの車の後部座席に乗り込み、助手席に座る零さんに、スマホの画面を見せた。
「これは?」
天野先生の財布の中に入っていたメモ書きだ。
そこには、たくさんの男性の名前が書かれていた。
『そこに書かれている名前、見覚えがない?』
俺の言葉に、零さんはスマホの写真をズームする。
「…こいつは、先日金銭横領が発覚して逮捕された議員だな…。こっちは転落事故で死亡した製薬会社の社長…?…ここに書かれている大半の人間が、逮捕や突然の死を遂げている…」
『そう。他にも名の知れた金持ちばかり。他の部屋も調べてみたけど、すごいものだったよ。宝石や高級品の類がたんまり』
「彼らの逮捕や死には、彼女が関わっている可能性が高いということか」
「ですが、今回警察庁にハッキングを仕掛けた件とは、関係ないようですね」
『そうでもないみたい』
風見さんの言葉をすぐに否定した。
『メモの一番下にある名前を見て』
「…飯田響輝…。保健室登校している、飯田先生の甥っ子か」
さすが零さん。
そこは調べ上げていたようだ。
「…そうか。彼女は彼を利用して……」
『そういうこと』
「…えっと、どういうことでしょう?」
一人だけ状況が分からない、と困惑する風見さん。
「飯田響輝は成績優秀で、パソコンが得意な生徒だ。何度か賞も取っている。卒業後は東都大に進学し、システムエンジニアへの道を歩むべく頑張っていたようだ。実際、IT会社からすでに声もかかっていたようだからな」
『そんな将来有望な生徒に、彼女が目を付けないわけがない。彼女は響輝くんの担任。その立場を利用し、響輝くんを懐柔しようとしたんだ』
IT関係は年収もいいからな…。
若いうちに手籠めにしておきたかったんだろう。
『というか、零さんもそこまで調べてたんだね』
「当たり前だ。お前が目立ってる裏で、僕が動く。そのための共同潜入なんだから」
そうだった。
あのボサボサの格好で日本史教えてるだけじゃなかったんだ。
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096 - ロマンス細胞さん» いえいえ!こちらこそこめんとありがとうございました!告白もありがとうございます(笑) (2020年2月13日 13時) (レス) id: e8c1cec671 (このIDを非表示/違反報告)
ロマンス細胞(プロフ) - 096さん» 返信ありがとうございました!(´;ω;`)めっちゃ好きです←(突然) (2020年2月12日 22時) (レス) id: 3aaa867c85 (このIDを非表示/違反報告)
096 - ロマンス細胞さん» ありがとうございます!そう言っていただけて嬉しいです!これからも頑張ります! (2020年2月12日 21時) (レス) id: e8c1cec671 (このIDを非表示/違反報告)
ロマンス細胞(プロフ) - 最高です。これからも頑張ってください!!楽しみに読んでます。 (2020年2月12日 20時) (レス) id: 3aaa867c85 (このIDを非表示/違反報告)
096 - 赤の他人さん» ありがとうございます!これからも楽しんでいただけるように頑張りますね! (2020年2月10日 20時) (レス) id: e8c1cec671 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:096 | 作成日時:2020年1月20日 21時