676話 紅の修学旅行 ページ27
《京都で天狗の面をつけた連中が暴れていると報告を受けて、テレビをつけてみたら、お前にそっくりの後姿を見つけたんだ。全く…昨日起きたっていう事件とは別物か?》
なんで後姿だけで俺って分かるんだよ…、怖い…。
『…いや、多分繋がってる。今、京都府警の警部さんと、あと服部平次くん。修学旅行でたまたま居合わせた世良さんと一緒に、容疑者である3人から事情を聞いてるところ…』
観念して事件についての現状を話した。
もちろん、新一のことについては伏せる。
《ああ、そういえば蘭さん達が修学旅行で京都って言ってたな。居合わせたのか。…工藤新一くんは、参加してないのかい?》
やっぱり、そう来るか…。
でも零さんにも、これは言えない。
今後に関わるかもしれないことだからだ。
『工藤新一くんって、東の高校生探偵?名前は聞いたことあるけど、見たことないし、俺もあまり詳しくないんだよね。こっちの世界に来てからよく名前は聞くけど、死んだって噂じゃないの?』
自分の名前に反応したのか、新一が電話をしながら俺を見た。
あくまで俺は工藤新一という登場人物についてはあまり詳しくない、というのを演じる。
『俺に探りをかけてんの?旅行に置いていかれて寂しくて拗ねてるのか知らないけど、そういうの嫌ーい』
不機嫌丸出しで拗ねた声を出すと、電話口から苦笑が漏れた。
《はは、すまない。そんなつもりじゃなかったんだ。…でも、そうだな、寂しくて拗ねてるのはあってるな。事件に関わるなとは言わないが、突っ走って無茶はするなよ》
『…うん。分かってるよ。夜にはそっちに着くから』
《すぐに後処理を終わらせて迎えに行く。じゃあ、そろそろ戻るよ。また夜にな》
『うん、頑張ってね』
そう言って通話を切って、張り詰めていた息を吐き出す。
恋人だからといって、なんでもポンポン話せるわけじゃない。
こうして嘘をつくことに、罪悪感も抱く。
・
832人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
096 - ちぃさん» 読んでいただきありがとうございます!深く考えていただき、嬉しい限りです…!人の数だけいろんな行動の仕方があると思います。葛藤の中で得た黒瀬の決意を、これからも見守ってあげていてください! (2019年12月22日 21時) (レス) id: e8c1cec671 (このIDを非表示/違反報告)
ちぃ(プロフ) - 別れたからってなにもしないのではなくて、世界を変えれないのなら影からサポートしたり守ったりするかも、、、。唯一の方法かなと思いました。 (2019年12月22日 1時) (レス) id: 13503def23 (このIDを非表示/違反報告)
ちぃ(プロフ) - やっと読めました、自分ならどーするか考えました。大好きな世界の均衡を保つ為、大好きな人を守る為にも、零さんから恨まれるくらいに嫌われてから別れるかなーって。全てが終わった時にもう一度始めからやり直す選択をするかも知れないですね。 (2019年12月22日 1時) (レス) id: 13503def23 (このIDを非表示/違反報告)
096 - りんねむさん» コメントとお気遣い、ありがとうございます!一気読みお疲れさまでした!これからも頑張りますので、よろしくお願いします! (2019年12月17日 14時) (レス) id: e8c1cec671 (このIDを非表示/違反報告)
りんねむ(プロフ) - 初コメ失礼致します。ここ数日で最初から一気に読んじゃいました!とっても面白いです!無理なさらぬよう、更新頑張って下さい!陰ながら応援しております!(*^^*) (2019年12月16日 18時) (レス) id: 529938dd30 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:096 | 作成日時:2019年11月26日 23時