675話 紅の修学旅行 ページ26
「その後、その卒業制作が評判になって、彼以外の私達5人だけが脚光を浴びてしまったの…」
「めっちゃめちゃ恨まれてるやんか…」
「あ、でも…今回の映画の製作発表した日の夜に、出栗から連絡があったんだ。“今は漫画家を諦めて、小さなデザイン事務所で働いてる僕だけど、あの話をリメイクするなら、スタッフロールの片隅に、僕の名前を入れてくれないか”って…」
だが手違いがあって、彼の名前を入れることができなかったらしい。
初号試写で映画を見た彼は、自分の名前がないことに失望して、自 殺。
俺はスマホを取り出して今回の映画のホームページを開く。
キャストやスタッフのページに出栗未智男の文字はない。
――……あれ?
なんでこのビジュアルポスターのキャストの名前の字体が、歪になってるんだ…?
そこに浮かび上がる名前に、そういうことか…と内心で呟く。
そうなると今回の事件は…恨みなどではなく、すれ違いが起こした悲しい事件…。
今すぐこのことを伝えることは俺には出来ない。
この場にいたとしても、俺にはどうすることもできないのだ。
そのとき、ポケットに入れていたスマホが振動した。
『あ…、すみません、ちょっと電話に』
そう言って離席し、襖を開けて廊下に出る。
『もしもし?どうしたの、零さん』
《ちょっと一息ついたから、どうしてるかと思って。今どこだ?》
『え…っと、お昼ご飯食べてたとこ…』
《ほぉ…?随分遅い昼食だな。よっぽど観光を楽しんでいるのか、天狗の面をつけた連中の事件に巻き込まれたか》
『な…んで、それを…』
思わず声が上ずった。
そのとき襖が開いて新一も廊下に出てきた。
目が合ったので訴えると、彼は察したようで俺から少し離れてどこかに電話を始めた。
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096 - ちぃさん» 読んでいただきありがとうございます!深く考えていただき、嬉しい限りです…!人の数だけいろんな行動の仕方があると思います。葛藤の中で得た黒瀬の決意を、これからも見守ってあげていてください! (2019年12月22日 21時) (レス) id: e8c1cec671 (このIDを非表示/違反報告)
ちぃ(プロフ) - 別れたからってなにもしないのではなくて、世界を変えれないのなら影からサポートしたり守ったりするかも、、、。唯一の方法かなと思いました。 (2019年12月22日 1時) (レス) id: 13503def23 (このIDを非表示/違反報告)
ちぃ(プロフ) - やっと読めました、自分ならどーするか考えました。大好きな世界の均衡を保つ為、大好きな人を守る為にも、零さんから恨まれるくらいに嫌われてから別れるかなーって。全てが終わった時にもう一度始めからやり直す選択をするかも知れないですね。 (2019年12月22日 1時) (レス) id: 13503def23 (このIDを非表示/違反報告)
096 - りんねむさん» コメントとお気遣い、ありがとうございます!一気読みお疲れさまでした!これからも頑張りますので、よろしくお願いします! (2019年12月17日 14時) (レス) id: e8c1cec671 (このIDを非表示/違反報告)
りんねむ(プロフ) - 初コメ失礼致します。ここ数日で最初から一気に読んじゃいました!とっても面白いです!無理なさらぬよう、更新頑張って下さい!陰ながら応援しております!(*^^*) (2019年12月16日 18時) (レス) id: 529938dd30 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:096 | 作成日時:2019年11月26日 23時