597話 ページ48
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「強い忘却作用のある薬ね。組織にいた頃、似たようなものを見たことがあるわ」
ポアロから工藤邸には戻らず、隣の阿笠邸に寄って、灰原に薬の解析を頼んだ。
結果は俺の予想通り。
「この世で一番大切な人間の存在を忘れてしまう」
『解毒方法は？』
「…かなり複雑な組み合わせだから、解毒剤を作ることは難しいわ。かといって、無理に思い出そうとすると、脳に後遺症が残る可能性がある。貴方の判断は正しかったようね」
『じゃあどうすればいい。どうすればあの人は俺を思い出してくれる？』
このまま一生、俺を忘れて、俺が来る前の零さんに戻ってしまう？
独り孤独に、この国を守る人に。
「…私が組織にいたころ見たことがあるものと同じような効力だとしたら、方法は一つ」
『…何？』
「言葉よ。相手が、貴方に言われて一番嬉しかった言葉。それをもう一度伝えるの。そうしたら、薬の効果は切れるかもしれない」
『言葉…？』
大好き？
愛してる？
…それが正解なのか？
こんな言葉、あの人なら俺以外からも言われ慣れているはずだ。
じゃあ、何？
俺はあの人に今まで…どんな言葉を伝えてきた？
『くそ…。こんな薬があるなんて…ほんと、突拍子もない世界だ…っ』
「でも、あまり時間はないわ。薬が完全に体に馴染むまで一週間。それ以上経つと完全に貴方のことは忘れてしまう。もう何を言っても無駄になるわ」
零さんが薬に侵されたのは二日前…。
あと五日…。
有効期限つきとか…、どうすればいい…！
「たっ、大変じゃ!!」
頭を回転させようとしたとき、博士がどかどかと地下室へ駆け下りてきた。
「どうしたの、博士」
「いいから早く上に！大変なことになっとる！」
博士の慌てようから、何か緊急事態だと察して、俺と灰原は急いでリビングに上がった。
そして博士が示すテレビを見て、目を見開いた。
『な…っ』
そこに映っていたのは紛れもない自分だった。
しかし髪は今とは違う、以前の金髪だ。
《もう一度言います。警視庁、そして都内主要駅の３つに爆弾を仕掛けた。俺からの要求は1つ。先日逮捕された大住伸彦の解放。明日の18時までに要求が呑まれない場合、この起爆スイッチで爆破を起こす》
テレビの中の俺がそう淡々と告げた。
「どういうこと…!?」
灰原が俺を見つめるが、俺のほうが聞きたい。
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096 - さつまいもさん» ありがとうございます！頑張りますので、これからもよろしくお願いします！ (2020年1月7日 11時) (
レス) id: e8c1cec671 (このIDを非表示/違反報告)
さつまいも - そう言っていただけると有難いです…。最新話まで読ませていただいております。とても面白いです！寒い日が続いていますので、無理をしない程度で更新頑張ってください。 (2020年1月7日 2時) (レス) id: 13761fb567 (このIDを非表示/違反報告)
096 - さつまいもさん» いえいえ！とんでもないです！私もまだまだ勉強中なので、おかしな点がありましたらまたご指摘いただけると幸いです！ (2020年1月6日 15時) (レス) id: e8c1cec671 (このIDを非表示/違反報告)
さつまいも - 返信遅れまして大変申し訳ございません(^_^;)そうでしたか…やはり口を挟むような結果になってしまい、申し訳ないです。コナンの作品中に東京駅が出ていることは初めて知りました。新しいコナンウンチクが増えました。ありがとうございます(笑) (2020年1月6日 2時) (レス) id: d0e080215b (このIDを非表示/違反報告)
096 - さつまいもさん» ご指摘ありがとうございます。架空都市として東都が使われているようですが、首都名は東京で正しいようです。実際コナンの作品中にも東京駅が出てきています。この辺ややこしくて、私も最初困惑しました（笑） (2019年12月30日 22時) (レス) id: e8c1cec671 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：096 | 作成日時：2019年10月4日 13時
