555話 ページ6
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「飲みなさい」
ホテルの一室に連れ込まれ、ベッドの上に下ろされると、いかにも怪しい小瓶を差し出された。
飲みたくないのに、体はその瓶を受け取り大住の命令を素直に聞いてしまう。
『ん、く…』
ごくん、と瓶の中の液体を飲み込むと、更に頭が朦朧としてきた。
「いい子だね。さて、君はどこから送り込まれた人間かな」
優しい口調で問いながら、大住は俺の上着を脱がしていく。
力が入らない体では、その手をとめることができない。
必死に理性を抑えることに集中する。
『お、れは…』
言ってはいけない。
俺のためじゃない。
零さんのために…!
『ッ…!』
力を振り絞って、自分の唇を噛んだ。
鉄の味が口内に広がる。
痛みで、自我を取り戻す。
「…拷問慣れしているのかな。なかなか度胸があるじゃないか。そういう子ほど、屈服させたくなるね」
俺の首筋に顔を近づけ、べろりと舐めあげられるとぞわりと鳥肌が立った。
『は、なせ、変態…ッ!』
金縛りにあったかのような体を無理矢理動かし、大住の鳩尾に蹴りを食らわす。
「か、はっ!」
大住はベッドから転げ落ち、鳩尾を押さえて蹲る。
会場で人質の保護は始まっているはずだ。
早くここから逃げないと…。
火照った体を引きずりながら、壁伝いに部屋を出る。
『は…、く、そっ』
だが薬の効果は思ったより強いらしい。
力尽きて廊下の途中で蹲る。
「ここまでだな。キズモノになるが…薬漬けにしてやる…!」
拳銃のセーフティーバーが外される音が背後から聞こえた。
首を動かしそちらを見ると、大住が俺に拳銃を向けていた。
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096 - さつまいもさん» ありがとうございます!頑張りますので、これからもよろしくお願いします! (2020年1月7日 11時) (レス) id: e8c1cec671 (このIDを非表示/違反報告)
さつまいも - そう言っていただけると有難いです…。最新話まで読ませていただいております。とても面白いです!寒い日が続いていますので、無理をしない程度で更新頑張ってください。 (2020年1月7日 2時) (レス) id: 13761fb567 (このIDを非表示/違反報告)
096 - さつまいもさん» いえいえ!とんでもないです!私もまだまだ勉強中なので、おかしな点がありましたらまたご指摘いただけると幸いです! (2020年1月6日 15時) (レス) id: e8c1cec671 (このIDを非表示/違反報告)
さつまいも - 返信遅れまして大変申し訳ございません(^_^;)そうでしたか…やはり口を挟むような結果になってしまい、申し訳ないです。コナンの作品中に東京駅が出ていることは初めて知りました。新しいコナンウンチクが増えました。ありがとうございます(笑) (2020年1月6日 2時) (レス) id: d0e080215b (このIDを非表示/違反報告)
096 - さつまいもさん» ご指摘ありがとうございます。架空都市として東都が使われているようですが、首都名は東京で正しいようです。実際コナンの作品中にも東京駅が出てきています。この辺ややこしくて、私も最初困惑しました(笑) (2019年12月30日 22時) (レス) id: e8c1cec671 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:096 | 作成日時:2019年10月4日 13時