588話 ページ39
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『というわけなので、しばらくお世話になります』
「前回と事情は違うが、デジャヴだな」
沖矢昴の姿の赤井さんに出迎えられ説明した。
何度もこの家に避難してきているから、赤井さんは俺をすんなり受け入れてくれた。
「それにしても…彼が記憶喪失とは」
沖矢さんの格好のまま、赤井さんの口調、声。
慣れない違和感を抱きながらも彼の後ろをついて工藤邸にお邪魔した。
『一応、思い当たることがある。たぶん、頭を打ったことによる外傷的な記憶喪失じゃないかもしれない』
「というと?」
『…以前、催眠効果のある薬を使用し、テロを目論んでいた男を拘束した。その薬は、特殊ルートを使って手に入れたものだと奴は言っていた』
「そのルートこそ、今回公安が制圧したテロ組織だと?」
『あの人はそのルートを追っていた。爆発に紛れ、気化された薬を零さんが吸ってしまったとしたら。その薬が欠乏効果のあるものなら…』
「なるほど。確かに、Aのことだけを忘れているのも引っかかるな」
荷物をリビングの隅に置いて、ソファに座る。
『今夜零さんがいる病院に忍び込んで、あの人のスマホから俺の痕跡を消す。明日からは爆破された施設を調べてみる』
「やはり黙っているつもりはないようだな」
『当たり前でしょ。赤井さんにも、いろいろ協力してもらいたいんだ』
「ホォ?俺を使うつもりか」
煙草を吸いながらニヒルに笑う赤井さん、の顔をした沖矢さんを見つめる。
『今一番頼れるのは赤井さんだけなんです。…お願いします』
零さんを一番刺激させるのは、赤井さんだ。
もちろん、零さんの前に赤井さんを出すわけにはいかないからそれとなく動いてもらうが。
「…わかった。協力しよう。ただし、詳しいことは日本警察の管轄だ。自由には動けん」
『うん、分かってる。とりあえず、今夜病院まで送って欲しい。バイクだと音が五月蝿いから』
「了解」
了承を得て、俺は以前も使わせてもらった部屋へ荷物を置きに向かった。
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096 - さつまいもさん» ありがとうございます!頑張りますので、これからもよろしくお願いします! (2020年1月7日 11時) (レス) id: e8c1cec671 (このIDを非表示/違反報告)
さつまいも - そう言っていただけると有難いです…。最新話まで読ませていただいております。とても面白いです!寒い日が続いていますので、無理をしない程度で更新頑張ってください。 (2020年1月7日 2時) (レス) id: 13761fb567 (このIDを非表示/違反報告)
096 - さつまいもさん» いえいえ!とんでもないです!私もまだまだ勉強中なので、おかしな点がありましたらまたご指摘いただけると幸いです! (2020年1月6日 15時) (レス) id: e8c1cec671 (このIDを非表示/違反報告)
さつまいも - 返信遅れまして大変申し訳ございません(^_^;)そうでしたか…やはり口を挟むような結果になってしまい、申し訳ないです。コナンの作品中に東京駅が出ていることは初めて知りました。新しいコナンウンチクが増えました。ありがとうございます(笑) (2020年1月6日 2時) (レス) id: d0e080215b (このIDを非表示/違反報告)
096 - さつまいもさん» ご指摘ありがとうございます。架空都市として東都が使われているようですが、首都名は東京で正しいようです。実際コナンの作品中にも東京駅が出てきています。この辺ややこしくて、私も最初困惑しました(笑) (2019年12月30日 22時) (レス) id: e8c1cec671 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:096 | 作成日時:2019年10月4日 13時