【名探偵コナン】異世界の訪問者《男主》

22話 ページ23

「そういえば、探偵業の傍ら、調べたんですよ、黒瀬さんのこと」

『え』
　

ドキッと心臓が跳ねた。



「驚くことに何の情報もありませんでした。戸籍も、何もかも、ね」

『そうですか、なんでですかね』

「もしかしたら、戸籍が日本にないのかも…、それかやはり、偽名、ですかね」

『……そんな怪しい人間を、貴方はまだ近くにおいておきますか？』
　

否定も、肯定もしない。
　

彼の元を追い出されたら、そのときはそのときだ。



『俺だったら、リスクを背負ってまで他人と一緒にいない。安室さん、俺と一緒にいて、貴方になんのメリットが？』

「…メリット、そうですね。何もありません」

『どういうつもりで俺を居候させているのか知りませんけど、感情だけで動いているならすぐに俺を追い出したほうがいい』
　

強い口調で、彼を睨みつけた。


「…なるほど。それが本当の貴方ですか」
　
信号で車が停まった。


「でも、よく分かりました。貴方が僕に害を及ぼすような人間ではないことを」

『……は？』

「貴方は僕のことを、よく考えてくれているようです」

『もしかして、試したんですか』

「ええ。まあ。ですが、貴方の情報がないのは本当です。貴方が何者なのか、謎は残りますが、僕は貴方を信用することにします」
　

信号が青になり、車が発進した。




「でも一つだけ聞かせてください」

『…なんですか？』






「…黒ずくめの組織と呼ばれている組織を、知っていますね？」





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