桜吹雪の舞う頃に

20話 ページ22

哀「･･･予想はしてたけど･･･やっぱり来たのね･･･」

　私がインターホンを押したあとすぐに出てきてくれた哀は、小さくため息をつきながら私を招き入れた。

咲夜「ええ、蘭にすべてを打ち明ける、これが私の結論よ」

　心底呆れた、と言うように先ほどよりも大きなため息をついた哀は、引き出しからたくさんの薬が入った小瓶を取り出した。

哀「貴方は初めてだし、そういう約束だったから多めに渡しておくけど･･･少し問題があってね･･･」

咲夜「･･･問題？」

哀「ええ、まずあなたが飲んだものは私が改竄した薬だと言うこと、私や江戸川君が飲んだものと少なからず成分が違うから、この解毒薬が効くか定かではないし、効いたとしてもどんな副作用があるか、わからないのよ･･･」

　つまり、哀が言いたいのはこういうことだろう。
コナンや哀がのんだものは、製造の段階でたまたま生まれてしまった幼児化する毒薬、なので、APTX4869をのんで死んでしまった人たちがのんだものとは少なからず成分が違う。そして、私の薬は元々後者だったものだ。いくらそれを幼児化できるよう改竄したからと言って、コナンや哀がのんだものと全く同じ成分のものは作れない。だから、コナンや哀がのんだものを元にして作られたこの解毒薬を私が飲んだとき、何が起こるかわからないと言ったところだろう。

咲夜「もし、効果がなかったときはこの姿のまま話すわ。･･･これ以上、蘭を待たせるわけにはいかないもの」

哀「そう･･･もし副作用があったり、薬が効かなかったら必ず私に言うこと、いいわね」

咲夜「わかってるわ、心配してくれてありがとね、哀」

　少し照れたような哀を横目に、私は阿笠邸をあとにした。

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