番外3話【幼少期】 ページ46
『…助かった、ありがとう。』
連れられてきたのは彼の自室と思わしき場所。
シンプルで無駄なものがない、彼らしいと思える部屋だった。
何と切り出すか迷っていると、先に切り出したのは向こうからで、小さなお礼。
「いや…いいんだけど…。」
『あの人は父には絶対に頭が上がらない人でね。次期当主である僕にも強くは出れない可哀想な人だよ。』
そう言いながら、彼はどこか遠い目をしていた。
『君、五条家の子だっけ。』
「そーだよ、五条悟。…悟がいい。」
この人には名前で呼ばれたいと思った。そんな事を思ったのは初めてだった。
そんな淡い思いは当時のAに一蹴されたけど。
『やだよ。』
「…は?なんで?」
今では自分の方がワガママだけど、昔はこの人の方がワガママで自己中心的だった。
むしろ、この人に影響されて僕はこんな性格になってしまったのかもしれない。責任とってくれないかな。
『覚えられる気がしない。』
「は?いや、だめ、悟がいい。
俺、帝刻寺って呼ぶのなげーからやだもん。」
それでも嫌だとしか言わないA。だんだんお互いに口調が強くなっていく。
『それに、僕は君の1つ歳上だ。
だから僕のことはせめて「さん」付けで呼ぶべきだ。』
「ぜってぇー嫌だ!!誰が自分より弱そうな奴を敬えるか!!」
その言葉でプッツン来たのかAはスっと立ち上がる。眼光は鋭く、まだ幼い子供とは思えない表情に少したじろいだ。
『…いいよ。力の差ってモノを教えてあげる。僕が勝ったら、君は僕をさん付けで呼ぶ。
君が勝ったら僕は君を下の名前で呼んであげよう。』
「……ノった。」
スタートと同時に天井が見えた。
開始と呪術を使うその一瞬の間に背負い投げされていたのだと気が付いたのは、時間が少し経った後だった。
「……は?」
『じゃあさん付けだよ。』
ニッコリと微笑むAさん。今ならはっきりと言える。
この人だけには容易く勝負を挑むべきではない。
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稲荷 - 戦闘狂とか男主とか黒髪赤目とかただの性癖でしかないし何より言葉選びがスッッッッッッキ。更新頑張ってください!好きです。 (2022年1月18日 19時) (レス) @page6 id: 5c3b21ca8d (このIDを非表示/違反報告)
ナナ - わぁお(?) 私の性癖が詰まってるね!!(??)更新、応援してます。続き待ってます!!!!!!!! (2022年1月7日 20時) (レス) @page30 id: f3a719c86a (このIDを非表示/違反報告)
猫です - ウッ、、、戦闘狂、、、?好きすぎて心臓が痛い、しかも、愛され、、、?僕特過ぎた (2021年12月30日 12時) (レス) @page30 id: f2e7fed4cc (このIDを非表示/違反報告)
はく(プロフ) - ぐぅ、、、っごじょるに男主、、しかも戦闘狂で愛され、、最高じゃねえか!!!もっと、、!!みせてみろ!!男主くんん((( (2021年9月29日 6時) (レス) @page28 id: 480d828c8e (このIDを非表示/違反報告)
わんこ - いちばん面白いです!!!早く続きが読みたい!! (2021年5月25日 23時) (レス) id: e23ad42b61 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:でめきん | 作成日時:2021年3月28日 12時