9話【緊張】 ページ11
五条は目の前でじっと見つめてくる視線を
そして、3回目で画面をタップしようとして…また手が止まった。
先程からこれをずっと繰り返している。彼の心拍数は高いまま、手汗も酷く、体温も高い。
つまり、五条は柄にもなく緊張をしていた。
「…さっさと電話しません?」
「今するから待って!」
呆れた表情をする伏黒はわざとらしく、何度目かの溜息をついた。
「もう行っていいですか。」
「行かないでよ!!」
「じゃあ早く電話掛けてください。」
「心臓が今痛いから!!」
別にハジメマシテの電話相手ではない。むしろ彼にとっては昔から知っている人物だった。
なのにここまで電話に緊張する理由は。
「いくら憧れていて大好きなA先生だからって、いい加減慣れて下さい。」
「だって好きなんだもん!!」
天上天下唯我独尊の五条でもこの電話相手、帝刻寺Aにだけは態度が一変する。
因みに臨時とはいえ、Aも教師なので毎日話したりするのに、この有様。
五条
「じゃあ、電話変わりましょうか。」
「いやだ…。」
「今日電話するの諦めますか。」
「やだ…。」
「じゃあかけてください。」
「あとちょっと待って…。」
伏黒はまた深い溜息をついた。何度も言うようだが、Aだから緊張しているのだ。
「虎杖の件、早く話さないと。」
「……うん。」
伏黒の視線が突き刺さるが、無理なものは無理である。五条が動かないと判断したのか、伏黒は勝手にボタンを押した。
「あ"ー!!!」
「ほら、電話かかってるんですから早く。」
五条は思い切り伏黒の肩を掴み揺らすが、それよりも優先すべきは電話の方だった。
慌てて電話を耳に当てる。なかなか出ない、やっぱり忙しかったのか。諦めて電話を切ろうとして、耳から離した瞬間に相手側が電話に出た音がした。
微かにあの人の側近の声がする。本当に電話が繋がったと思った瞬間に、更に汗が吹き出す。
「……。」
『……オイ、悟。黙り込むな。喋れよ。』
大好きな低い声が脳を刺激する。
今、Aさんの声を脳髄に染み込ませてるから待って。
そう答えると、電話越しに呆れたような優しい溜息とその反対の耳から伏黒の何度目かの溜息が同時に聞こえた。
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稲荷 - 戦闘狂とか男主とか黒髪赤目とかただの性癖でしかないし何より言葉選びがスッッッッッッキ。更新頑張ってください!好きです。 (2022年1月18日 19時) (レス) @page6 id: 5c3b21ca8d (このIDを非表示/違反報告)
ナナ - わぁお(?) 私の性癖が詰まってるね!!(??)更新、応援してます。続き待ってます!!!!!!!! (2022年1月7日 20時) (レス) @page30 id: f3a719c86a (このIDを非表示/違反報告)
猫です - ウッ、、、戦闘狂、、、?好きすぎて心臓が痛い、しかも、愛され、、、?僕特過ぎた (2021年12月30日 12時) (レス) @page30 id: f2e7fed4cc (このIDを非表示/違反報告)
はく(プロフ) - ぐぅ、、、っごじょるに男主、、しかも戦闘狂で愛され、、最高じゃねえか!!!もっと、、!!みせてみろ!!男主くんん((( (2021年9月29日 6時) (レス) @page28 id: 480d828c8e (このIDを非表示/違反報告)
わんこ - いちばん面白いです!!!早く続きが読みたい!! (2021年5月25日 23時) (レス) id: e23ad42b61 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:でめきん | 作成日時:2021年3月28日 12時