悟くんは死なないでね。 (ページ23)

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君に会うページ23

悟side

真っ暗だ

どこを見ても真っ暗で

少し先を見ると会いたかった人がいた

Aだ……。

会いに行こうとするがどれだけ走ってもそちら側へは行けない

走っても

透明な壁があるみたいだった

現実を認めたくなくて泣いた

泣くのは2度目だと思う

気を失う前に俺は初めて泣いたから

俯いて静かに泣いていると

頬がひんやりと冷えて思わず顔を上げると

近くにAがいて目を見開いた

A「悟くん。悟くんありがとう」

笑顔で感謝された

感謝したいのは俺の方だ

そして謝りたい、愛してると言いたいのに声が出ない

A「悟くん生きててくれてありがとう私はこの数ヶ月間すごく幸せだったよ」

俺もだよ、A

高専に入ってどうせつまらないと思っていたけど

親友が出来て初めて恋に落ちた

数ヶ月がこんなに濃いものになるとは思わなかったな

A「"悟くんは死なないでね"なんてたくさん呪いの言葉を吐いてごめんね。でもね、悟くん。私はあなたの為に死ねてよかった。あなたを助けることが出来て良かった。」

A「悟くん。もしまた悟くんが窮地に追いやられた時は私が何度でも起こしてあげる。それはもう鬱陶しいほどに！だからさ、悟くん」

「あんまり早くこっちに来ちゃダメだよ」

そう笑って透ける体で俺を包み込んだ

分かってたんだ

呪いの言葉も

君が死んで消えたことも

分かってて受け入れられなかったんだ

きっと彼女は分かってた。

愛ほど歪んだ呪いは無いことを

だから思いを

告げられる前に

告げる前に俺を助けて死んだ

なぁA

俺はずっと君のことを愛していたよ

ありがとう

そして

『さようなら』

意識が沈む最後に見えた君は初めて見せてくれた綺麗な笑顔で俺を見つめ手を振っていた

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