悟くんは死なないでね。 (ページ11)

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友達ページ11

傑side

A「傑くん、傑くん」

目の前でニコニコした眼帯の女の子

姫野Aに私は今話しかけられている

場所は私の部屋

ドアを叩く音が聞こえたからどうせ悟だろうと思い開ければこの子がいた

『なんだい？』

A「傑くんは好きな人いるの？」

『どうしてそんなこと聞くんだい？』

A「いやぁ〜、恋バナしたいじゃん」

なぜ私と……？

『それなら硝子とすればいいじゃないか。それに私に好きな人はいないよ』

そう素直に答えると

A「えぇ〜！！つまんな〜い！！」

と駄々をコネ始めた

なんなんだ一体

少々苛立ちを覚えながら笑顔を崩さずA見た

A「本音言うとさ、私悟くんのこと好きなんだよね」

『知ってた』

A「え？」

そんなこと知っていた

お互い思い合っているのに気付かない2人

A「ちぇっ。」

『早く思いを告げればいいのに』

A「私は言いたいけど、言えないよ。」

『なぜ？』

この子ならいつもの笑顔で好きだと伝えられると思うのに

その光景だって想像出来る

A「私はさ、悟くんのこともだけど、傑くんも硝子のことも好きなわけ。でも特別大切なのは悟くん。悟くんは素直になれない馬鹿でクズな男なの」

すごい言われようだな。

当てはまってはいるけれど

A「そんな彼に私はいつも言うの"悟くんは死なないでね"って。馬鹿でクズだけど彼が最強なことくらい私も分かってる。高専で共に過ごしてきたから痛いほど分かった」

『なら...』

A「だからなんだよ。もし、想いを伝えて結ばれたらものすごく幸せなことだと思う。

彼は私を守るとも言ってくれた。

でも結ばれた後、悟くんが窮地に追いやられた時私が彼を助けて目の前から跡形もなく消えたら、それまで伝えた愛の言葉が呪いになるかもしれないんだよ」

きっと残酷な世界になると見てわかる

悟は愛ほど歪んだ呪いはないということは重々承知だろう

でも既に"死なないで"というAから何回も放たれた言葉で呪われ、そこに愛の呪いが重なればどんな方向に向くか分からない

だから告げない

そういうことだろうか……

『難しいね……』

一言で済まして良かったのだろうか

A「だよね〜」

『でも、辛くなったらいつでも聞くよ。友達として。勿論硝子もね』

そういうと彼女は照れくさそうに笑って頷いた