とある同級生の話8th

満足と不満 ページ47

ある日、スタジオに入ったらAしかいなかった。



うへ、と思ったけどとりあえず知らん顔。



Aは私の声優になった本当の理由を知ってる。


何となく勘づいてたらしい。

だろうなとは思ったけど。


何を言っても余裕そうな顔をするこいつに腹が立った。

挙句の果てに｢変わってないね｣なんて言われて。



昔いじめられてた相手に何事も無かったかのように接するAにも、相変わらずチヤホヤされてるとこにも、抜け目がないところにも、全てに腹が立ってる。








そのまま迎えたイベント。
初めてで緊張はしたけどこれからすることが楽しみで、歪んでいくAの顔を見れるのが楽しみで、嬉しかった。




最初の挨拶。私たち初めての3人が登場してその後に先輩方が。そしてAが登場した。


私以外見事にAのネタで、こんなところまで持ってくのか。




そして登場したA。


歓声が桁違いで正直鳥肌が立った。




司会の人もAに話を振るし、周りのキャストも直ぐにAに話を振る、

喋りすぎるとファンの人達は他にも回せよ……って空気を出すかなとも思ったけどそんなことない。むしろ待ってましたという空気に毎回なる。


悔しいことにAは話を振られると全てオチをつけて返す。それがいい具合に前に話してた人をたたせ、次に回す。


私たち新人にもいい感じに話を回し、止まった時には手助けをする。
どうしてこんなに完璧なのか。

でもその完璧さも私にとったら大炎上してるところにさらに油を注いでるようなもんだ。





ようやく話せる時が来た。

その話題になったら直ぐに中学の時の話を持ち出す。


当時、彼女が気に病むほど嫌がってた体育教師からのセクハラ。


それをここで話した。


話の出だしでわかったらしく、分かりやすく顔を歪めたA。


イベント真っ只中、ファンの前で反抗できない周りのキャスト、梅原先輩、A。


私の一言一言に壊れていくAを見れて大満足した。

初出し情報だよ？嬉しいでしょ？


ファンの人だって喜んでるよきっと


その後にリハーサルにはなかった休憩の時間が急遽与えられた。

みんな私には目もくれずAに付きっきり。

私はマネージャーに余計なことはしないようにと釘を刺された。


気持ち悪い。どうしてそこまでする。



休憩が終わりミニゲームが始まった。

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