とある同級生の話8th

悪い空気は誰から ページ26

『……なんですよ、しかも、梅原さんを脅して無理やり交際してるって』

中から聞こえてきたのはありもしないことをべらべらと話すなつみの声だった。

さっきまで騒がしかった個室の中はなつみの話す私の悪口しか聞こえない。


うわ、空気悪。


私はもう慣れてる空気感。中学の時からそうだったし。

ただ、この空気にみんなを付き合わせるのは申し訳ないなと思ってしまう。



梅｢なんか俺あいつの言ってる意味全く理解できいんだけど｣

｢あはは、昔からそうだよ、｣

梅が扉を開けようとすると別の声が聞こえてきた。

花｢性格いい悪いとかそういうのは｢中学の時は｣の話でしょ？｣

なつみ｢はい。でも今も変わってませんよ？人間そう簡単に変われないですし｣

悠｢ど〜だろうね〜、俺あいつがデビューした時から知ってるけど1度もそんなふうに思ったことないし｣

なつみ｢先輩たちには見せてないだけですよ｣

杉｢中学の時のAのことは俺達には分からない。
今のAのことは少なくとも君より知ってる。Aのどこを見て性格が悪いと思ったのか知らんが｣

佐｢それに、、なんでだか、このお仕事って周りを蹴り落として自分が上がろうとする人は絶対に売れないんだよね。｣

杉｢確かに、人気がある声優はみんな性格がいいな。日向Aの周りにいる人は特に。｣

斉｢人間、似たもの同士が近づいてくるって言いますもんね。

それに、梅ちゃんのことに関してだけど、その噂、全くの嘘だよ｣

花｢ほんと！誰が言い出したのか分からないけどどちらかと言えば梅の気持ちの方が大きすぎる｣

佐｢まあ美男美女のイチャつきを目の前で見てるのも楽しいけどたまにイチャイチャしすぎー！ってみんなで換気するもんね｣

杉｢そのまま始まっちゃうかと｣

悠｢生々しいこと言うな｣

斉｢だから、今度もしどこかでそういう噂聞いたらそれ違うよって否定しといてね｣

優しくて、でもどこか怒りが籠ったみんなの声。

みんなの話を聞いて涙が出そうになった。

梅｢A、ほんとにみんなから愛されてるね｣

｢わたし、この仕事につけて、みんなに出会えて良かった｣


こぼれそうになった涙を拭って個室に入る。


｢おまたせ！何食べる？｣

斉｢おなかいっぱいって言ってたじゃん！｣

｢なんかおなかすいた〜｣


この人たちとずっと一緒にいたい



そんな人達に出会えて幸せだ。

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