とある同級生の話7th (ページ33)

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懐かしい感覚だった。

ネックレスが目の前をとおりすぎた瞬間から色が無くなった。

高校三年生。あの事件のあと、しばらく色がわからなくなった。

最初はパニクったけど、ふと昔読んだ本を思い出し、すぐに冷静になれた。

『後天色覚異常』

その言葉を思い出してネットで調べると原因とか出てきて、直ぐにこれだとわかった。

お母さんたちにも内緒で、一週間色が見えないまま学校を休み、色が見えないまま学校に行った。

モノクロの世界は怖かったけどこんなの強i姦に比べたらなんちゃらなくて、

ストレスなく過ごしてたらいつの間にか治っていた。

それからずっと平気だったのに

あーあ。まただ。

原稿の文字も読めるし、何もしなければ生活に支障はない。

そう思いながらも色のある世界が恋しくなる。

帰りのタクシーで窓の外を眺めていてもやはり色はわからなかった。

今年は暑いから桜が咲いてる木もある。

普段は綺麗だなって感じるのに、色が塗られてないとこんなにも虚しく感じるなんて。

家に着いて鏡の前に立つ。

何も分からない。

梅｢A、夜ご飯、何食べたい？｣

昼間あったことを瞬に聞いてから私には何も聞いてこない梅。

｢ねえ、梅、梅は今、何色の服を着てる？｣

梅｢服？、赤だけど、、え？どうしたの？｣

｢私には黒にしか見えない｣

梅｢……は、｣

｢ねえ、私の服は？何色？｣

梅｢…薄い、水色のシャツに、白のズボン｣

｢そっか、｣

梅｢ねえ、ほんとにどうしたの？｣

｢…色、分からなくなっちゃった｣

梅｢……え……｣

びっくりした梅の顔が見える。

自分の頬を涙が伝ったのが分かる。

苦しい顔をした梅にそっと抱き寄せられた。