梅の季節(終)

不安 ページ30

とりあえず仕事の時間になってアフレコスタジオに向かった。


家出る時台本の入ったカバンを持ってきてて良かった

なんて思いながらブースに向かう。
ドアノブに手をかけた時、また嫌な会話が聞こえてきた。


『このあいだ橋本Aさんと共演したんだけどさ』

『まじ？ちょー羨ましい…どうだった？』

『超可愛い。その上性格も良くてさ、優しいしノリいいし』

『うわー、それは俺好きになっちゃう』

『だよなぁ』

なに……言ってんの。

ドアノブをにぎりしめる力が強くなる。

梶｢梅ちゃん？どうかしたの？｣

梶さんの声に我に返った。

｢あ、いえ、なんでもないです、おはようございます｣

梶｢そ？おはよう｣

握りしめてたドアノブをもう一度握り直し、ドアを開けた。

中にいたのは後輩の子。
事務所は確か違った気がする。




なんかあんまり話したことないど、2人を理不尽に嫌った。









仕事が終わり
なんだかモヤモヤしながら家に向かった。


玄関でAは待っててくて、というか、来てくれて、おかえりって言ってくれる。


本人は無意識なんだろうけど上目遣いで緊張してるのが伝わってくる。


その顔が可愛くて誰にも見せたくないって思う。
Aが声優の仕事が大好きなのは知ってるからやめて欲しいなんて言えるわけないし

｢ただいま…｣って冷たく言ってしまう。


あーまじ今の俺宇宙一めんどくさい









朝起きたら隣にAはいなかった。
一瞬焦ったけど今日の仕事8時からとか言ってたな。っていつか言われたことを思い出す。

テーブルを見ると朝ごはんが。
それを食べて仕事に行く準備をした。

Aが設定して言ったタイマー通り洗濯機が終わった。それを外に干して家を出る。








スタジオ内の廊下を歩いてると見たことある影が2つ重なった。

｢A？｣

思わず声をかけた。

Aと……西山？


貴方｢う、めちゃ…｣

涙目でこっちを見てるA。
普段なら寄っていくのになんせ今の俺は情緒不安定の面倒臭い人だ。
自分のことしか頭になくて
泣きたいのはこっちだって言いたくなった。


西｢梅ちゃん、さっき｣

｢あ？｣

言い訳？
なんかイライラしてその場を離れた。









作者は今、新しいお話を思いつき早く描きたくてうずうず……

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