四個目 ページ5
出る杭は打たれる。
「及川さーん練習頑張ってください!」
「これ差し入れです!上手く焼けたのでぜひ……!」
可愛い女の子達に取り囲まれるあの人はやっぱり人気者。女の子達も毎日よく飽きずきゃーきゃー言えたもんだ。毎日見ていれば飽きないものか。
それに変わらず笑顔で対応できる彼だってもう自分がそういう存在であることが当たり前になっているんだろう。
お互いありがたみなんてもうないのかな。
それはちょっと、腹立たしいな。
「あの及川さん、最近嫌がらせがひどいって……」
「ん?」
「最近画鋲だけじゃなくて郵便物で動物の死骸が送られて来てる……とか聞くんですけど大丈夫ですか?」
嘘でしょ。私以外にそんなことする人いるの。
それとも噂に便乗して手を出す輩が出てしまったとか。
「ないない。むしろ最近皆優しいよ。噂って根も葉もないね。心配してくれてありがとうね」
本当なのかな。
いえ、と顔を赤くして頷く女の子はそんな疑問はないようだけど。
「私、画鋲の犯人突き止めてみます!」
背筋が凍りつく。こういう行為をしているということはリスクも多大になるのは承知しているが、一番嫌なパターンはファンの子に見つかることだ。数多いファンの中には過激派だっている。最悪のケース刺されるなんてこともありえる。
でもそれ以上にいじめられるのは勘弁だ。
すると彼は動じることもなくにこりと微笑んだ。
「ありがとう。でもこれは俺の問題だから自分で解決したいんだ。何かあったらまた頼らせてもらうからその時まで待っててほしいな」
正直本人に気付かれるのも避けたい。対応策を練らないとな。
女の子達がこれだけ味方なら本当に危ない。
異性はもちろん、同性にもいじられポジションで人気。
でもそれは全てじゃない。
彼に告白し続けたが玉砕する女子、持っていないものを持ってる相手に憎しみを覚える男子。それらが逆恨みを持つのは必然だ。
そしてその恨みは団体になればなるほど影口ではおさまらなくなることを私は知っている。
彼達の横を通り過ぎてみようかと興味本意で近付いたその時、肩に衝撃が走った。
「あー、すみませーん」
気のない返事をした女の子はこっちを見ることなく笑顔で取り巻きの中へと混じって行く。
勢いで崩した体勢を整えると、そのまま真っ直ぐ足を進めた。
「あっ……大丈夫!?」
後ろから彼の声が飛ぶ。私のことかはわからないし軽く会釈しときゃいいか。
ほらね。出る杭は打たれるんだよ。
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水野ひのは(プロフ) - 緋鞠さん» 緋鞠様ありがとうございます。少しでも良かったと思って頂けたなら嬉しいです!きっと大変綺麗な心をお持ちなんですね。ありがとうございます!頑張らせて頂きます! (2020年1月29日 18時) (レス) id: 8eec0cab53 (このIDを非表示/違反報告)
緋鞠(プロフ) - コメント失礼します。題名で気になり読んでみたら、いつの間にか泣いていました。素敵な作品をありがとうございます。これからも頑張ってください。 (2020年1月29日 17時) (レス) id: 207604f612 (このIDを非表示/違反報告)
水野ひのは(プロフ) - 風華さん» ドラゴンフルーツというのもありですね!大丈夫ですドラゴンフルーツと答える方もかなりいます。正常です。私の父は迷わず赤飯と答えました。これは異常です。コメントありがとうございます。 (2020年1月2日 16時) (レス) id: 8eec0cab53 (このIDを非表示/違反報告)
風華(プロフ) - 初コメ失礼します!赤い果物で思いついたのがドラゴンフルーツだっんですけど…私の方がおかしいですかねw (2020年1月2日 11時) (レス) id: a3f48bb6df (このIDを非表示/違反報告)
水野ひのは(プロフ) - ティラミルクさん» ティラミルク様丁寧なご指摘ありがとうございます…!わっ、目なんて根も葉もないですね…。修正させて頂きました。拙い作者ですのでまた何かあれば言ってやってください! (2020年1月2日 0時) (レス) id: 8eec0cab53 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:水野ひのは | 作成日時:2019年12月29日 11時