靴に画鋲を入れます【及川徹】

十三個目 ページ14

授業は集中を欠いた。

全てが思うように手につかなかった。

モヤモヤが募り、普通の生活ができなかった。


私は何がしたいんだろう。
エゴとわかっていながら間違った行為を押し付け続けて。
私は彼のなんなんだ？モブ生徒Bか？それともただの背景？背景なんておこがましい空気？

そんな私が彼に一方的な偽善をふっかけて茶々を入れているのか。


本当に何がしたいんだろう。


すると、女の子達の声が聞こえた。


「思ったんだけどさ、なんで先生動かないんだろうね」
「結構有名なのにね。それで及川さんが怪我しちゃったらどうするつもりなんだろ」


反射的に足が止まる。


「及川先輩自分から申し出たらしいよ。自分の問題だから自分でどうにかしたいって」
「へぇ〜すごいね！流石！」
「私達もそれくらってるしねー。でもそれだけこだわるってことは何かあるのかな？」


確かに全ての行動においておかしいとは思ってたけど本格的に危なくなってきつつあるな。噂かもしれないけど。


「まぁ及川さんのために裏で調べようと思ってるけど」
「案外簡単なところにいたりしてね〜」


あぁ、偽善だ。でも私だって言えない。

もう早く教室に戻ろう。
躊躇しつつも陰から一歩足を踏み出した――


「そういえばうちのクラスの子が朝来るの異様に早くてさ」


――刹那、言葉にドクンと心臓が鳴ると同時に足が止まる。

不自然に目の前に現れ止まった私に女の子達の視線が集まる。
私はピタッと止まった会話から逃げるべく即座にさっきより早く足を動かした。


「あっ、待って！」


焦ったように大きい声を出しこっちに向かって来るリーダーと思わしき一人。
普通後からやっちゃったというのをヒソヒソ言い合うもんなのに勇気あるな。

どうしよう。

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