9話 ページ9
「流架！棗が...！棗が...！」
「今Aや俺が行ったって、棗の足手纏いにしかならない！！
大丈夫。すぐ戻ってくるから」
遠慮がちに私の頭を撫でるまだ小さな手は、少し震えていた。
流架も心配なんだ、駆け付けたいんだ。
「ごめん、流架」
「大丈夫」
私たちは席につき、おとなしく棗の帰りを待った。
「佐倉蜜柑！正真正銘のアリスです！！」
あの子...まだいたんだ
「先生！佐倉さんの星階級はいくつなんですか？」
「まだ入学したばかりだから、決まってないんだ。」
「星階級？なんですか？それ」
「じゃあ委員長、説明よろしく！」
〜説明中〜
「でも、蛍でも届かんスペシャルっていうんは、ほんまにすごいんやなぁ」
「スペシャルは初等部では二人。日向棗くん、花野Aちゃんだけなんだ」
「な、棗！？めっちゃ悪いやつやんアイツ！
たとえどんなアリスであろうと、嫌な奴は嫌なやつや！愛想ないし暴力的やし、それから・・・それから・・・！」
「それから？」
「出たぁぁぁぁぁ！！！！！」
「！棗...っ、」
「結局捕まっちゃったわけか、彼に」
「うるせぇ」
私は棗に急いで駆け寄りお面に触れた。
首には真新しい傷がある。
「この傷...！！
ごめんね..私何も...」
「怪我、ないか」
「わ、私は大丈夫...流架がいたから...」
「そうか。流架もそんなに心配すんな。Aのこと、ありがとな」
「う、うん...」
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作者名：ゆら | 作成日時：2023年9月20日 0時
