学園アリス (ページ6)

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6話　棗side ページ6

「んっ...」

「棗っ...！！」

重たいまぶたを無理やり開けると、心配そうに見つめるAがいた。

「お前...」

「体、平気？」

「あぁ。それより流架は..」

「僕ならここだよ」

窓際にいる鳥を見送った流架は、俺の方へ近づいてきた

「棗っ...！棗っ...！私、心配したんだから！！

棗が棗じゃなくなっちゃいそうで、怖くて...私...！！」

ぎゅっと首に巻きついてくる細い体を抱き寄せ、規則良く背中を叩いた。

俺の首元が濡れていくのがわかる。

しばらくして、耳元から寝息が聞こえてきた。

「俺は・・・こいつと一緒にいたらいけないんだ」

「何言ってるんだよ棗。棗がいてあげなきゃダメなんだよ」

「こいつは俺といるといつも泣いてばかりだ・・・

笑わせてやったことなんて一度もない」

「棗・・・」

「でも、棗くんがその子から離れちゃうと、彼女は今の状態を保っていられないんじゃないから」

三人だけの部屋に、俺を眠らせた張本人が入ってきた。

「棗くんがいるから、今のその子が成り立っている。そのことは君が一番肌で感じているだろう？

Aちゃんは笑いたくて棗くんのそばにいるんじゃない。純粋な気持ちで、君が好きだから。君と一緒にいたいという自らの選択で今ここにいるんだから、君がAちゃんを信じてあげないと」

悔しいが、言い返せなかった。

まだまだアリス自体は未熟で制御が難しい。
でも鍛えればA以上に価値のあるアリスを持ったやつはいない。

幼い頃からその身を狙われ、この学園に来た時には人間そのものに怯えていた。

俺はそんな孤独姿に、自分を重ねてしまった。

声をかけてしまった。

それ以降、Aのいない世界ほど恐ろしいものはなかった。