44話 ページ44
梅ノ宮さんと別れて、教室へ戻ろうと足を向けた。
「棗、まだ居るかな」
ｶﾞﾗ..
教室のドアを開けると、誰もいなかった。
「流石に帰っちゃったか」
私も自室に戻ろう。
そう思って廊下に出た時だった。
「A！」
「琉架？どうしたの？」
「棗が倒れた！」
「え..？」
「はやく！」
よく分からないまま、私は夢中で流架について行った。
行先は学校の保健室では無く、専用の病棟だった。
「棗！！棗！！！」
病室に入ると、ベットで横たわる棗がいた。
なんだかひどくうなされてるみたい。
「っ...！」
「！棗！！」
「幸い、傷口の炎症も治ったみたいだから、もう少し寝ていれば治るってお医者さんも言ってた」
「棗、やっぱり任務の時の傷..」
「気にするな」
病室には私と流架、陽ちゃん、今井さん、佐倉さん、正田さんがいた。
「おにいちゃんはやくげんきになってね」
「お前・・・」
陽ちゃんは棗に小さな花束を差し出していた。
「とにかくよかったわぁ...棗が倒れたって聞いた時はうち・・うわっ！何すんねん！」
棗はコップに入っていた水を佐倉さんにかけた。
「耳元でキャンキャンウルセェんだよ。とっとと出てけ」
「なんや！うちは棗のパートナーやろ？なんで水かけられなあかんねん！」
「知るか」
「棗くん？私の気持ち・・」
今度は正田さんが花束を差し出す。
棗はそれを・・・
「コラァ！何すんねん棗！うちとくるくるパーマに謝れ！！」
当然のように佐倉さんに投げた。
「うるせぇなぁ。もういいから帰れ。今日は前夜祭だ。
お前らも準備があるんだろ」
「それもそうやなぁ、棗も体ようなったら遊びに来てや！」
「ふん。誰がいくか」
「佐倉さん、今井さんも、流架も。私が後はついてるから、準備戻ってあげたら？」
「わかったわ！」
「A、棗を頼んだ」
「うん」
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作者名：ゆら | 作成日時：2023年9月20日 0時
