40話 棗side ページ40
流架からも聞いていたが、Aは昨夜かなりの寝不足だったみたいで、気づけば俺の肩にもたれかかってすやすやと寝息を立てていた。
クラスの中にも、もう俺たち以外人はいない。
この二週間、特にすることもないだろうからゆっくりしよう。
俺は漫画本を手に取り、Aが目を覚ますまで待つことにした。
ガチャ
「ぁ」
しばらくして、俺たちだけだった教室に水玉が入ってきた。
「棗とAちゃんは危険能力系やろ？
二人のアリスやったら色々できるからえぇなぁ、花火とかキャンプファイヤーとか。
Aちゃんなんて、できひんことがないもんなぁ。
ウチとは大違いや」
「おい水玉」
俺が手招きすると、水玉は顔を寄せてきた。
「消えろブサイク」
同時に毛先に火を放った。
「うわぁぁぁぁ！！！何するんや！！
・・・何か言え！！！」
「参加できるわけ無いだろ」
「え？」
「学園は俺たちの存在を隠したがってんだ。エントリーすらされねぇよ」
「棗...それで二人で...」
「・・いないか...」
ちょうどいいところに別の部外者が入ってきた。
水玉とわかめ頭がいい愛を始めたがもう俺には関係ない。
・・・しかしうるさいな
Aが起きていないか確認し、わかめ頭の髪に火を放った。
「棗？」
「わかめ頭がもずく頭に返信だな。
お前も早く行けよ。本当に辞退することになるぞ」
「うん。でも...実はまだ出し物決まってないんや...なんかいいアイデアあればいいんやけど...
あ！ちょっとそれかして！」
「おい、」
「これや！ありがとう！！」
俺の持っていた漫画本を奪い取って何か閃いたのか、水玉は教室から出て行った。
Aはまだ眠っている。
「俺も少し休むか..」
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作者名：ゆら | 作成日時：2023年9月20日 0時
