19話 ページ19
そっか。
今日は月に一回のお小遣いの日か。
通りでみんな浮かれてるわけだ。
「お兄ちゃん、お姉ちゃん」
「あっ、陽ちゃん」
私たちと同じ危険能力系の聖陽一くん。
最初は棗に懐いてよく遊びにきていたが、遊びに来るうちに私にも心を開いてくれた。
「お兄ちゃん、お兄ちゃん」
両手を上に上げ、棗に抱っこをせがむその姿に、流石に頬が緩んだ。
「お姉ちゃん、これ、あげる」
「ん?なぁに?」
小さな手の中には可愛らしい包み紙に包まれた飴があった。
「陽ちゃん、これくれるの?」
「うん」
「ふふっ、ありがとう」
「棗さん棗さん...」
私が陽ちゃんを気を取られているうちに、佐倉さんがなぜか土下座をしていた。
「お願いします!セントラルタウンに一緒に行ってください!!」
「僕からもお願いします!」
委員長まで・・・
「なんの真似だ」
「さぁ...?」
「一緒に行ってくれぇ...!!1頼む〜!って、何その子!かわいい!!
棗に懐くなんて珍し〜!陽ちゃん言うんや!こっちおいで!」
「ダメよこんな人のところいっちゃ!お姉さんのとこおいで〜」
「棗達と同じ危険能力系で、だから棗もこの子のことは気にかけてるっていうか...」
陽ちゃん、アリス使わないといいけど。
佐倉さんって確か、お化けとかそういう類、苦手だったような...?
「ばーか」
「ばーか」
「ブサイク」
「ぶちゃいく」
棗に続いて陽ちゃんも真似をする。
これが陽ちゃんの教育に良いのか否かは置いといて、いいコンビだと思う。
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作者名:ゆら | 作成日時:2023年9月20日 0時