13話 ページ13
「・・・というわけで、みんなでドッジボール大会をしましょう！！」
『はぁ？』
『何言ってんだ？』
『やるわけないだろ〜？』
またあの子・・・
「そんなにうちに負けるのが怖いかぁ？」
佐倉さんの挑発にまんまと乗せられ、佐倉さんが負けたらなんでもいうことを聞くこと。こちらが負ければ授業サボりをしないことを条件に始まってしまった。
「別にいいぜ。ただし、使うボールはこれだ」
「なんや、このボール」
「試合は明日。１チーム8人。いいな」
「わかった！」
アリスボールを知らずに易々と条件を飲んだ佐倉さんは楽しそうに教室を後にした。
「ちょっとお手洗い行ってくるね」
そう言い残し私は席を立った。
「ドッジボール、私はどうせ参加できやしないし関係ない...か」
「そんなことない！Aちゃん！」
「佐倉さんっ、」
「ドッジボール、一緒にせぇへん？な！」
「・・・無理」
「ガーーーン！なんで！？なんでなん！？」
「私、運動できないの。体弱くて」
「え？そ、そうやったん...ごめんな？」
「別にいい。
佐倉さん...」
「何？」
「棗を...棗を笑わせてあげて欲しい。
きっと貴方なら...」
「そんなん任せて！
いっつも顰めっ面で、なんや私も気に入らんのや！
よっしゃ！絶対メンバー集めて勝ったるで〜！！ほなな！」
自分がどれだけ不利な立場におかれているのかわかっていないのかしら。
・・・でもあの子なら。
あの子の笑顔は眩しい。周りを取り込んで空気を穏やかにしてくれる。
「きっと...きっと棗のそばにいていいのは私じゃない。
棗には笑ってて欲しいから。
幸せな日々を送って欲しいから。
私じゃ、無いんだよ」
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作者名：ゆら | 作成日時：2023年9月20日 0時
