1話 ページ1
いつも通りの日常。
騒がしく、協調性も何もないクラス。
「くしゅんっ！！」
「おい、大丈夫かA。」
「棗。
うん、大丈夫」
「まだ病み上がりなんだから、無理するなよ」
「ありがとう、棗」
横に座るのは日向棗。
私の彼氏。
同じ危険能力系。
私も棗と一緒で、使えば使うほど、自らの命を危険に晒すタイプのアリスだ。
裏の任務にも勿論関わっており、体調不良で頻繁に学校を休んでいた。
「A、本当に大丈夫なの？」
この子は流架。
棗と私にとてもよくしてくれる。
「流架。心配かけちゃってごめんね。もう大丈夫だから」
「なら...いいんだけど」
棗は任務の疲れからか、昼間はよく教室で寝ている。
今日も雑誌を顔に乗せ、心ばかりの休息を得ていた。
私はというもの、遅れた授業内容を把握するのに一生懸命だった。
私のアリスを使えば、勉強なんて何ともない。
でも私が未熟なあまり、気軽にアリスを使うとすぐ体調に現れるのだ。
そんなことを考えていると、クラスに見慣れないおさげの女の子がみえた。
佐倉蜜柑。
みんなに受け入れられず、困っているみたいだった。
さっきとは打って変わって静まり返ってしまった教室の奥へと進み、私たちの席の横で足を止めた。
「隣よろしく！」
「あ、お前...
さっきの水玉パンツじゃん」
「あぁぁぁぁ！！さっきの変態痴漢男〜！！！」
棗に指を刺して大きな声をあげる行為に私はたまらず耳を塞いだ。
どうやら棗がこの子に何かしでかしたらしい。
「女の敵！野蛮人！謝ればか！」
棗に暴言を吐き続ける彼女は、まだこの学園を何も理解していないのだろう。
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作者名：ゆら | 作成日時：2023年9月20日 0時
