学園アリス (番外編) (ページ1)

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春 1 ページ1

佐倉さんが転校してくる少し前。

「ねぇ棗、外行かない？」

「外？」

「うん。

桜、すごく綺麗なの」

少しだるそうな棗の腕を無理やり引っ張り、門の近くまで来た。

「すごい..！！今年は暖冬だったから春に見られるか心配だったけど、すごく綺麗！！」

満開の桜は少しづつ散っていた。

花弁が私たちの上を舞う。

儚くも綺麗なその景色に、私は言葉を失っていた。

「おや？棗くん。今日は正々堂々、正門から脱走かな？」

「鳴海先生、」

「..んなわけねぇだろ」

「素直でよろしい。

Aちゃん、春は出会いの季節だね」

「出会い？」

「今度転校生が来るんだ」

「転校生って...この前今井さんが来たのに？」

「ま、色々とね。

きっと君達にはいい刺激になる子だよ」

「・・関係ない」

棗は冷たく言い放つと、鳴海先生を睨んだ。

「まあまあそう言わず。

仲良くしてあげてね、2人とも」

棗の睨みに怯む様子も無く、鳴海先生は手を振りながら校舎へ消えていった。