ただのファンのひとりです【桃】 (ページ10)

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「逆にさ、なんか質問ない？笑」

『え、質問ですか？』

そんなこと言われても、柔軟剤何使ってますか？とかシャンプーは？歯磨き粉は？とか気持ち悪い質問しか出てこない自分を恨む。

え、ヲタクはみんな知りたいよね！？

まぁ、ここは無難にさっき自分に聞かれた同じ質問を聞き返すとしよう。普通に気になるし。

『……ファンの子を家にあげるのってどういう気持ちですか？』

「え、……うーん…………」

さっきまでヘラヘラしてた小瀧くんが急に真顔になった。

まずい質問しちゃったかな。

もしかして…これが初めてじゃないとか？

「ファンでもファンじゃなくても、Aちゃん誘ってたで？」

『ぬ…っ』

急に胸きゅんセリフが飛んできて言葉を失った。

ってか"ぬっ"ってなんだよ。どんな反応だよ。

「さっきも言うたけど、まぁおもろいって言うのもあったし、お礼言いたいのもあったし、一気に人柄が好きやなーって思ったし」

"好き"

深い意味はなくとも、自担にそう言われて、出会った衝撃ぶりに息が出来なくなる

てか同じ質問したのに、私のしょーもない"アリアナ・グランデが～"な質問に質問を返すウザイパターンと違って、私の心臓を貫くようなドキドキするこの返答ズルくない……？

そんな言い方されたら、『そ…うですか……』ぐらいしか返す言葉がない。

「からかってへんよ？」

『わ、わかってます！』

「はは、そか。……ほら、今の時代SNSって怖いやん？知り合った人にいろいろ情報流されたりさー。」

『…………そうですね』

「最初はファンって聞いて"あ、これヤバいやつかな"って思ったけどさ、よくよく考えたら、ちゃんとファンですって言うた挙句、自分から謝って逃げてったのがおもろすぎてさ。笑」

やっぱり面白がられていた私。

"思い出してもたわ"って言いながらまたケラケラ笑ってる小瀧くん。

可愛い。

芸能人と仲良いことをいろんな人に自慢したい気持ちは今すごくわかる自分がいる。

こうやって自分だけに向けられた笑顔を見たら、みんなに大声で自慢したくなるよね。

そこを自分でどう制御できるか、なんだよね。

本当にその人のことが好きなら、そんなこと絶対しないもん。

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