ただのファンのひとりです【桃】 (ページ5)

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「立てます？」

『うわああ、立てます立てます！！』

なかなかの距離に顔を近づけられて我に返り、立ち上がった勢いのまま頭を思いっきり下げた

『さっきはすみませんほんとなんかお見苦しいところを！！警告しに来たんですよね！？本当に申し訳ありませんでした！！』

「警告？いや、はは！ちゃうんですちゃうんです。お礼言いたくて。」

『え？』

「あんだけ俺のため思って言うてくれたの、めっちゃ嬉しくて。」

小瀧くんが、へへっと笑った。

帽子を深く被ってても、目じりがキュッとなってるのがわかる。

自担だもん。

「ほんまに、ありがとうございました。」

『……い、いや………』

今度は小瀧くんが、私に頭を下げた。

『あ…頭あげてください！』

「……おもろかったっす、さっきの長澤さん。笑」

『う…』

さっきの事を思い出したからか、目の前に自担がいるからか、酔っ払ってるからか、急激に顔に熱が集中する。

私、今絶対顔真っ赤だ。

「方向こっちっすか？人もまだチラホラおるし、ちょっと歩きません？」

小瀧くんは、キョロキョロしながら小声でそう言った。

…そうだ彼はアイドルだ。

道端でこんなちんちくりんな女と一緒にいるところを誰かに見られたりしたら、やばいよね。

それに、私は彼のファンの一人。

これ以上、このラインは超えてはならない。

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